2026年5月号掲載

熟睡力

Original Title :HOW TO SLEEP LIKE A CAVEMAN (2025年刊)

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著者紹介

概要

今、日本の成人の30~40%に不眠症状があるといわれる。なかなか寝付けない、夜中に何度も目を覚ます…。しかし、太古の人類にとって、それは当たり前のことだった!? オランダの睡眠科学者が、“8時間睡眠”をはじめ、睡眠にまつわる無用な“神話”の数々を暴くとともに、「質の良い眠り」の本質と具体的な対処法を示す。

要約

原始人類はどう眠っていたのか

 睡眠療法士として不眠症の原因について研究していた頃、私自身も不眠症に悩まされていた。入眠に何時間もかかり、1時間ごとに目覚めては時計を見てしまう。

 自分が不眠症を発症した理由を理解したのは、だいぶ後になってからのことだった。原始人類が進化するうちにつくられた睡眠プロセスが、むしろ私の夜の睡眠を妨げていたと発見したのだ。

 睡眠の本質を理解するには、先史時代(300万~500万年前から紀元前3300年頃まで)に遡る必要がある。

原始人類の睡眠を、現代の狩猟採集民で調べる

 睡眠について、先史時代の人類で検証するのは不可能だ。だが、現代の狩猟採集民の行動を調べることで、その手がかりは得られる。

 タンザニア、ボリビア、ナミビアの狩猟採集民族の成人の高感度加速度センサーによる記録がある。装着した腕時計型のセンサーで身体の活動レベルを調べるこの手法では、睡眠と覚醒とをかなり正確に計測できる。

 ある調査グループは、タンザニアのハヅァ族にこの手法を用いた。彼らの活動領域はサバンナの森林地帯だ。集団を構成するのは25~30人。男性は狩猟者、女性は採集者として行動する。

 興味深い発見は、現代の狩猟採集民の睡眠のタイプに大きな個人差が見られたことである。その重要な要因は年齢だ。高齢者は若者よりも早く就寝、睡眠中に何度も中途覚醒し、早朝に起床した。このような高齢者は夜中や早朝に部族を見守ることができ、サバイバルに役立っただろう。

原始人類は夜中に長時間覚醒していた?

 調査によれば、現代の狩猟採集民の一晩の睡眠時間は平均5時間42分~7時間6分の間だ。

 産業化した国ではこんな睡眠パターンはひどいと言われるだろう。しかしハヅァ族は夜中に横になったまま目を覚ましていることを気にしてはいないようだ。眠るか眠らないかというだけである。

誰が「睡眠は8時間」と言い出したのか

 現代の狩猟採集民の調査から、私たちの祖先の睡眠時間が多くは8時間以下だったと推測できる。

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