2025年8月号掲載

なぜデジタル社会は「持続不可能」なのか ネットの進化と環境破壊の未来

Original Title :L'ENFER NUMÉRIQUE (2021年刊)

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著者紹介

概要

インターネットやスマホなど、デジタル技術は暮らしを便利にした。しかし、その裏には“不都合な真実”も。例えば、重さ2kgのパソコンを作るには、化学物質22kg、燃料240kg、水1.5tが必要だ。膨大な資源を使い、環境への負荷も大きい。世界各地を取材してわかった、こうしたデジタル社会の暗部をジャーナリストが抉り出す。

要約

デジタル世界の不都合な真実

 インターネットは、地球の隅々までデジタル・テクノロジーが支配するのを可能にした。

 そしてデジタル世界は、一見すると1gの資源も、水の1滴も使わずに、我々にオンラインで商売をしたり、ゲームをしたりさせるように見える。つまり、デジタルは物質的な影響を全く生じさせないとよく言われる。

 しかし実際には、デジタル・テクノロジーは環境を破壊している。地球の物理的、生物学的限界をもたらすものなのだ。

グラファイト鉱山の中心部への旅

 例えば、中国の最北部にある黒竜江省。気候が厳しく、経済発展からも取り残された地方だが、地下にあるものが、この地域を有名にした。

 埋蔵量が豊富なグラファイトだ。これなしでは、スマホやパソコンは機能しないのだ。世界中の携帯電話が2gほどのグラファイトを含んでいる。

 その採掘現場では、文字通り山々を取り崩している。そして岩を粉砕し小石にしてから酸に浸し、高温の炉で乾燥させる。最終製品は灰色の粉だ。

 グラファイトの粉塵は、長期的には死をもたらす毒性の強い腐食性のフッ化水素酸を含んでいる。

 地元の農夫は言う。「粉塵は何十km四方の大気に広がる。…もう緑の葉の繁りも澄んだ水もない。全部、汚染されているんだ」、と。

デジタル端末に必要な原材料

 ピザを頼んだり、飛行機のチケットを予約したり、出会い系サイトで恋人を見つけたり…。

 インターネットとITは、我々をヴァーチャルなアシスタントを人差し指だけで使う支配者にした。

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