2024年3月号掲載

静かな働き方 「ほどよい」仕事でじぶん時間を取り戻す

Original Title :The Good Enough Job (2023年刊)

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著者紹介

概要

今米国で、仕事を生きがいと考える「ワーキスト(仕事主義者)」が増えている。なぜそうなったのか。本書は、仕事に対する思い込みが仕事主義を加速させていると指摘。元仕事人間たちへの取材から、仕事に「意味」を求めすぎると過重労働や燃え尽き症候群に陥ると警告する。働き方を見直すきっかけを与えてくれる1冊である。

要約

仕事は自己実現の手段に進化した

 ある研究所が、アンケート調査で米国人に「人生に意味をもたらすこと」とは何かを尋ねた。

 回答者は、「配偶者」の約2倍の確率で「キャリア」を挙げた。これは、仕事が生きがいとして認識されているということだ。

 ホワイトカラーの労働者にとって、仕事は給料だけでなく、人生の意味や目的、コミュニティへの帰属意識をもたらすものとなっている。

 ジャーナリストのデレク・トンプソンは、この現象を「ワーキズム(仕事主義)」と名付けた。敬虔な信者が信仰に人生の意味を見いだすのと同じように、ワーキスト(仕事主義者)は仕事に人生の意味を見いだそうとしている。

 ワーキズムは、“お金”と“精神の充足”という2つの異なるものを仕事に求める思想だ。この2つの方向性は必ずしも一致するものではない。それでも人々は、どちらも満たしてくれることを仕事に求めるようになっている。

ワーキズムを解決するヒント

 実際、現代において仕事への期待はどんどん膨らんでいる。しかし、常に満足感を与えてくれることを仕事に期待することには失望が伴う。

 「仕事への傾倒」は、燃え尽き症候群やストレスにつながることが調査によって明らかになっている。かといって、これは仕事をないがしろにすれば解決できる問題でもない。多くの人は人生の3分の1を仕事に費やす。その時間をどう過ごすかが重要なのは間違いない。だからこそ、やりがいのある仕事を追求することと、仕事に人生のすべてを支配されるリスクとのバランスをどのように取るかが大事なのである。

 この問題を解決するヒントになるのは、「ほどよい」である。「ほどよい」は仕事で得られるものを美化することもなければ、仕事を苦行とするものでもない。「ほどよい」は、あなたなりの「足るを知る」ことを勧めている。あなたの価値は仕事で決まるのではなく、人生における仕事の役割はあなた自身で決められることを示している。

さらば、ワーキズム教

 歴史的に、多くの米国人は何らかの宗教を信仰していた。しかし、最近これが変わりつつある。「ノンズ」と呼ばれる、宗教を信仰しない人たちが増えているのだ。

無宗教者「ノンズ」の増加を後押しした社会現象

 人々が宗教から離れた理由はいくつかある。

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