2023年10月号掲載
ChatGPT(チャットジーピーティー)の全貌 何がすごくて、何が危険なのか?
- 著者
- 出版社
- 発行日2023年8月30日
- 定価990円
- ページ数266ページ
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著者紹介
概要
今、世間を賑わせているChatGPT。対話型のAI(人工知能)はこれまでにも存在していたのに、なぜこれほど注目を集めているのか? その秘密に、情報技術の専門家が迫った。ChatGPTのすごさ、社会にもたらす危険性など、メリットとデメリットの両面から解説。この新技術と上手に付き合っていく上で、助けとなる1冊だ。
要約
ChatGPTの基礎知識
ChatGPTが流行っている。
このAI(人工知能)の作り出す文書は、確かにすごい。例えば、ChatGPTは膨大な知識と会話のデータを保有し、分野横断的な会話に対応できる。
加えて、既存のチャットボットの多くは会話しているものの、その内容は1回のやり取りで終わる。ボットは1つ前の発言を覚えていないのだ。ところが、ChatGPTは文脈を覚えていて文章を生成してくる。これが、利用者にとても自然な会話であるという印象を与えるのだ。
問いかけに対して、文体や語調、語彙まで整えてくる点も際だった特徴である。ChatGPTは、その文章に相応しい文体や語調を選択してくる。これらの相乗効果により、極めて人間らしい反応として仕上がっているのである。
なぜ世界的なブームになったのか?
ChatGPTが、なぜ世界的なブームになったか?
それは、環境が整ったからだ。ある技術が生まれた時、それがどんなに優れたものであっても、社会が受け入れなければ普及することはない。
インターネットの黎明期から、すべてのコミュニケーションをインターネット上で行いたいという需要はあった。それに応える技術もあった。だが、すぐに社会には広まらなかった。
電子掲示板が現れ、メールが現れ、Webが登場して、それらが少し易しめの操作で使えるようになった。そしてチャット、ブログ、SNS…と利便性が高まり、機器側もパソコン、ポケベル、スマホなどの進化があって人々の生活に浸透する。
何十年もかけてこれらの下地を作って、やっと「そろそろ生活のすべてをネット上に移すか=メタバース」のブームになるのだ。そのくらい、人が新しい技術を受け入れるのには時間がかかる。
人工知能研究の歴史
AIブームは、実は70年前に始まった。アラン・チューリングが、その機械が人間っぽく見えるかどうかを判定する「チューリングテスト」を提案したのが1950年だ。この時、AIは萌芽期にあったが、多くの人は「人間と見分けがつかない会話なんて無理だ」と冷笑的に捉えた。
ただ、人のように振る舞い、人の役に立ったり、人の代わりを担ったりするものは作れるかもしれない。人工知能研究はそうした地点から始まった。