2023年6月号掲載

ハッキング・デジタル DXの成功法則

Original Title :HACKING DIGITAL:Best Practices to Implement and Accelerate Your Business Transformation (2022年刊)

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著者紹介

概要

自社のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を成功に導くには、何をどうすべきか? この問いに、DXの専門家らが答えた。明確な「変革理念」を打ち立てる、外部の出来事に対する「高度な察知力」を築く、製品からサービスへ移行する…。変革を成し遂げるためにやるべきことを段階的に説いた、「使える」DX指南書だ。

要約

明確な「変革理念」を立てる

 DX(デジタル・トランスフォーメーション)は難しい。DXに関する11の研究結果を分析したところ、DXプログラムの87%が、「当初の期待に応えられていない」ことがわかった。

 すなわち、成功する確率はかなり低い。だから、DXには手を出さないのが賢明だ。しかし、そんなことが許される組織はどんどん減ってきている。機会と脅威の大きさを考えれば、あなたも何らかの形でDXに踏み切るしかないだろう。

 本書は、DXに関する「ベストプラクティス」を集めたものだ。多くの組織が直面するDXの課題はどれも似通っているので、参考になるだろう。

まず必要なのは「変革理念」

 DXを始める時、まず「変革理念」が必要になる。DXの野心と目標を概説するステートメントだ。

 DXに取り組む際、多くの組織がビジョン駆動型やミッション駆動型を目指す。だが、ビジョンやミッションはDXの推進力になりにくい。なぜなら、漠然として遠大すぎるせいで、実行するための効果的な助けにならないからだ。

 実際、DXプログラムの成功率の低さは、変革理念の不出来や欠如が大きな要因になっている。

「PRISM」の特徴を備える

 では、どうすればいいのか? 変革理念には、次の5つの特徴が備わっているとよい。

    • 「正確(Precise)」
    • 「現実的(Realistic)」
    • 「包摂的(Inclusive)」
    • 「簡潔(Succinct)」
    • 「測定可能(Measurable)」

 これらの頭文字をとって「PRISM」と呼ぶ。

 例えばシスコは、2015~20年の5年間にわたる変革理念を「50/50/2020」という言葉に凝縮した。これは2020年度末までに、収益の50%をハードウエアではなくソフトウエアから、同じく50%を単発(売り切り)ではなく反復性のある収入源から得るというものだ。

 変革理念が決められた2015年当時、同社の収益の約8割が、反復性の低いハードウエアの販売によるものだった。従って、この変革理念はとても正確で、疑問も誤解も生まない。もし変革理念が正確さを欠いていたら、各部署が独自の解釈をしてしまうだろう。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

なぜ、DXは失敗するのか? 「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル

トニー・サルダナ 東洋経済新報社

GAFAに克つデジタルシフト 経営者のためのデジタル人材革命

鉢嶺 登 日本経済新聞出版社