2022年12月号掲載

死は存在しない 最先端量子科学が示す新たな仮説

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著者紹介

概要

我々は死を迎えた後、「ゼロ・ポイント・フィールド」という場所で生き続けていく ―― 。田坂広志氏が、最先端の科学の知見を基に、「死後」の世界について説いた。死後、意識の全ての情報が記録される、他者の情報と相互作用を続ける等々、新たな死生観が語られる。現実世界の肉体は消えても、その奥にある世界で「自己」は残る!

要約

現代の科学の限界

 あなたは、「死後の世界」の存在を信じるか。

 恐らく多くの人は、現代の科学がそれを否定しているから、信じることができないのではないか。では、なぜ、科学は死後の世界を否定するのか?

「分析」をすると、「本質」が見えなくなる

 現代の「科学」は、素晴らしい業績を挙げてきたが、まだ、様々な限界がある。その1つは、「意識」というものの本質を説明できないことだ。

 その理由は、現代の科学が「唯物論的科学」だからである。すなわち、この世界の本質は「物質」であり、生命、意識、心、精神も、すべて物質が物理的・化学的な相互作用を生じた結果、生まれてきたものであるとの立場である。

 この唯物論的科学では、肉体が消えれば意識も消え、従って「死後の世界」など無い、となる。

サンタフェ研究所からの根本的批判

 しかし、この唯物論的科学は、すでに何十年も前から、限界に直面している。

 その1つに、「要素還元主義」の限界がある。要素還元主義とは、「ある対象の性質を理解するためには、その対象を小さな要素に『分解』し、それぞれの要素を『分析』し、最後にその分析結果を『総合』すれば解明できる」という考えだ。

 17世紀の哲学者ルネ・デカルト以来、科学はこの要素還元主義に立脚してきた。しかし、近年、その限界が明らかになり、代わって「複雑系科学」が注目されるようになった。複雑系科学とは、「物事が複雑になっていくと、新たな性質を獲得するため、複雑な対象を要素還元主義的に分解し、分析し、その結果を総合しても、対象の性質を正しく理解することはできない」という立場に立った科学である。

ミクロの世界では、「物質」が消えてしまう

 現代の科学が直面する限界には、「物質消滅」という限界もある。

 唯物論的科学は、世界のすべては「物質」の性質から説明できるとするが、現代の最先端科学、特に量子科学の世界を究めていくと、そもそも、その物質そのものが、非常に不確かな存在である。

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