2022年10月号掲載

強権的指導者の時代 民主主義を脅かす世界の新潮流

Original Title :The Age of the Strongman:How the Cult of the Leader Threatens Democracy around the World

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著者紹介

概要

ナショナリズムをあおり、個人崇拝を奨励し、国家機関を軽んじる。近年、世界各地で「強権的指導者」が台頭している。プーチン、習近平、トランプ…。彼らの政治スタイルは民主主義を脅かす。こうした新しい潮流はいつ頃、定着したのか? その背景には何があるのか? 世界秩序を壊しかねない、強権的指導者の正体に迫る。

要約

「強権的指導者」が台頭する世界

 今、世界各地で「強権的指導者(ストロングマン)」が台頭し、世界政治を根本的に変えている。

 世界が瓦礫と化した第2次世界大戦の終結以降、政治的自由は世界中で進展してきた。その歩みは不安定だが、全体的な方向性は明らかだった。

 1945年当時、世界にはわずか12カ国しか民主主義国家は存在しなかった。それが2002年には92カ国になり、史上初めて独裁国家の数を上回った。それ以来、正式に民主主義国家と定義された国々の数は、わずかながらも独裁的な政権の数をしのいでいた。

 だが今、民主主義の衰退が始まっている。この現象の中心にあるのが、強権的指導者の台頭だ。

世界中に広がる強権的指導者

 強権的指導者の時代は、ドナルド・トランプが大統領になる、ずっと前から始まっている。

 中国とインドは、ともに強権政治に傾斜している。習近平国家主席とナレンドラ・モディ首相はまったく異なる政治体制の国を運営しているが、指導者個人を前面に出した統治手法は共通している。ナショナリズム、自国は「強い」というレトリック、自由主義(リベラリズム)への激しい敵意が特徴だ。

 EUの東側にある重要な2大国ロシアとトルコも、強権的指導者によって運営されている。ウラジーミル・プーチン大統領もレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領も、政権を握ってから20年近くが経過している。

 ハンガリーのビクトル・オルバン首相やポーランドのヤロスワフ・カチンスキ元首相により、EUにも強権的指導者の手法が入り込んできている。

 このような国際的なパターンは、強権的指導者の政治スタイルは権威主義体制に限定されないことを示す。今やこの手法は、民主的選挙で選ばれた政治家の間でもよく見られる。

 

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