2022年4月号掲載

政府は巨大化する 小さな政府の終焉

Original Title :BIGGER GOVERNMENT

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著者紹介

概要

大型増税か、政府支出の大幅削減か、どちらも拒み、債務危機に陥るか ―― 。これが、先進各国が今後迫られる“究極の選択”だ。その原因は、医療、年金、気候変動など、長期的な支出拡大の圧力。ほとんどの国が、かつてない財政の膨張に直面する。本書は、各種データを基にそれらの圧力を分析し、国家財政の未来を見通す。

要約

政府支出は多すぎるのか?

 これからの30年という時間枠で考えると、先進国の政府は今後、巨大化する。すべての先進国の政府支出が、恒久的に大きく増える可能性がある。

 これは「大きな政府」論者が政治的に勝利するからではない。イデオロギーとは関係なく、政府支出に大きく影響する外部要因と圧力の結果として、大幅な支出増が起きるのだ。

新型コロナ禍で膨れ上がった政府支出

 新型コロナ禍とそれがもたらした経済危機は、2020年から先進国の政府支出を大きく膨れ上がらせた。政府は経済への後遺症を阻止するため、異例の積極的措置を講じた。アメリカでは、議会が2兆ドルの救済計画を承認した。財政浪費を嫌うドイツですら、財布の紐を気前よく解いた。

 しかし、このような支出増に対する合意がいつまでも続くとは期待できない。公的支出の拡大に反対する陣営は、社会と経済が回復軌道に乗れば、政府支出を危機前の水準に戻さなければならないと考えている。

 彼らのロジックは理解できる。政府が新型コロナ禍対策で巨額の債務を負うことは間違いない。それは、新型コロナ禍以前の政府債務が低水準だった少数の先進国にとっては、問題ではないかもしれない。だが、ほとんどの先進国は、高水準の債務を抱えた状態で新型コロナ禍に巻き込まれた。

 アメリカでは、連邦政府の債務が2019年に23兆ドルを超えた。州政府と地方政府の債務を加えれば、国民1人当たり6万7000ドル以上になる。日本の1人当たりの政府債務は、これを上回る9万3000ドルだ。

 大半の先進国で、新型コロナ禍前の債務が未曾有の水準にあった。この観点からすると、新型コロナ禍後に政府支出の大幅増を恒久化すれば、多くの国が確実に破滅の道をたどるのは明らかだ。つまり、平常な状態が戻れば、支出減による債務の縮小に注力すべきだということになる。

 世界が新型コロナ危機から立ち直り始めた時、政府の適正な規模をめぐる激論が再開するだろう。

支出拡大をもたらすもの

 政府支出に大きな影響を及ぼす要因。それは、例えば、次のようなものである。

医療支出の急増

 医療は、かねてから政府支出に大きな増大圧力を与えてきた。多くの先進国で、医療支出の「対GDP比」は1970年から倍以上に増えている。

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