2021年6月号掲載

新型コロナの科学

科学・技術・環境健康・メンタルヘルス・医療社会・政治
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著者紹介

概要

2019年末に姿を現し、今も猛威を振るい続ける新型コロナウイルス。当初は未知の存在だったが、徐々に実態が見えてきた。本書では、早期から新型コロナ関連の情報を発信してきた著者が、膨大な資料を基に感染症の基礎知識や研究開発の状況などを解説、その正体に迫る。2020年末時点での新型コロナ解析の集大成である。

要約

新型コロナ感染症を知る

 人類は、過去に何度も感染症に襲われてきた。

 近代医学がワクチンや抗生物質を開発したが、いまだ特効薬もワクチンもない感染症の方が多い。ウイルス疾患の中で両者がそろっているのは、インフルエンザくらいである。我々は、これからも感染症と共に生きていかねばならない ―― 。

飛沫感染とエアロゾル感染

 新型コロナウイルスの最も重要な感染ルートは、感染者の唾からのものだ。咳、くしゃみ、発声などにより飛び出た唾は、小さな飛沫となる。飛沫は、ほとんどが2m以内に落下する。

 条件によって、飛沫はさらに微細なエアロゾルとなり、数m先まで届く。もし、エアロゾルが感染の原因となれば、2mのソーシャル・ディスタンスでは予防できないことになる。

 CDC(アメリカ疾病対策センター)は、このエアロゾル感染を巡って混乱した。2020年9月18日、CDCは飛沫に加えてエアロゾル感染が主な感染経路と発表した。ところが3日後に修正し、飛沫感染のみを強調。さらに10月5日、飛沫が主な感染ルートであるが、時にはエアロゾル感染も起こると報告した。CDC で何が起きたのか? CNNは、この変更の背後にはトランプ政権による政治的圧力があったのではないかと報じている。

 実際の感染では、エアロゾルが重要な役割を果たしているのは間違いない。その典型例は、合唱団のクラスター感染だ。オランダで行われた演奏会では、出演者130人中102人が新型コロナに感染した。ドイツでは、合唱の練習をしていた80人中60人が感染。アメリカでは、2時間半の合唱練習の間に52人が感染した。オランダを除く2例の感染源は、1人と見られている。

 インフルエンザのような呼吸器感染症が冬に多いのは、エアロゾルが発生しやすいためだろう。コンピュータ解析によると、湿度が低いとエアロゾルとなって、感染を遠くまで広げるという。

半減期

 ウイルスは、人体の外では自ら増えることはない。ただ減っていくだけである。実験によると、新型コロナウイルスの半減期は、エアロゾルでは1.1~1.2時間、紙の表面では3時間、プラスチックの表面では6.8時間であった。

無症状者からの感染

 2020年1月末、ヨーロッパの感染事例の分析から、新型コロナウイルスは「無症状の感染者からも感染する」という事実が判明した。

 この事実は、最初は受け入れられなかった。だが、その後の報告や研究によって疑う余地はなくなった。5月になると、44~56%は無症状感染者からの感染という報告が相次いだ。

新型コロナ肺炎

 感染者の20%は肺炎になり、さらに2~3%は重篤化して集中治療室に送られる。血栓症、心筋梗塞、脳梗塞などを合併すると予後は悪い。

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