ウイルスの世紀

科学・技術・環境国際・世界情勢
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著者紹介

概要

20世紀後半以降、動物由来の新たなウイルスが続々と人間社会に現れている。今、世界を騒がせている新型コロナもその1つ。人間の活動範囲が広がり、野生動物に接触する機会が増えた現代では、今後も新たなウイルスは出現しうる。そう警告する専門家が、数々の新興ウイルスについて詳述し、ウイルスと社会の関係を俯瞰する。

要約

エマージングウイルスの系譜

 1980年、WHO(世界保健機関)は、天然痘の根絶を宣言した。

 当時、多くの細菌感染が抗生物質で治療可能になっていた。天然痘と並ぶ最も重大なウイルス感染症である麻疹とポリオにも、根絶の見通しが出てきていた。人類は感染症を克服できる。多くの人々がそう考えた、楽観の時代であった。

 しかし、現実は違った。1981年にエイズが出現し、全世界に広がっていった。人々は感染症の克服が幻想にすぎなかったことに気付いた。

エマージング感染症

 ヒトの間で広がる伝染病の中には、ヒトに由来する病気だけでなく、動物に由来する病気も数多くある。これを「動物由来感染症」といい、現在までに200種類以上が明らかになっている。

 動物由来感染症は古くからあり、近年、その一部が「エマージング感染症(新興感染症)」と呼ばれるようになった。まず、1981年にエイズが出現した。それと前後する形で、エボラ出血熱、ハンタウイルス肺症候群など、これまでになかった新しい感染症が次々と出現した。

 こうしたウイルスによる感染症に、細菌感染症である新型コレラ菌O139、腸管出血性大腸菌O157などまで含めれば、その数はさらに増す。

 上記のような20世紀後半以降に現れたウイルスを「エマージングウイルス」と呼ぶ。エマージングウイルスによる感染症は、高い致死率や激しい症状などから世界に衝撃を与えている。

ラッサ熱

 1969年、ナイジェリアの小さな村ラッサで、看護師が原因不明の熱病で重体に陥った。その後、西アフリカの離れた4カ所の地域でも、同様の熱病が流行し、その致死率は36~67%と高かった。

 この熱病は、最初の発生地の村の名をとってラッサ熱と名付けられた。

 ラッサ熱の発生は西アフリカという熱帯地域に集中している。だが、国際交流が日常化した今日、ウイルスも限られた地域に留まっていない。

 1976年、西アフリカで平和部隊の隊員として働いていた米国人女性が、頭痛や吐き気などを感じた。医師がラッサ熱を疑い、女性の血清を米国CDC(疾病制圧予防センター)に送った。一方、女性は帰国し、ワシントンの病院に入院した。

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