2021年6月号掲載

未来探究2050

科学・技術・環境国際・世界情勢社会・政治
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著者紹介

概要

2050年。今から30年先の世界は、どんな姿をしているのか? 知識の世紀ともいわれる21世紀、その問いに答えるには、「知の未来」を知る必要がある。脳神経科学、ロボット研究、リスク研究、精神保健・人権政策…。文系理系、東京大学の多彩な知性が、それぞれの研究分野の将来像を展望。未来社会を読み解くヒントを示す。

要約

脳のフロンティアを開拓したい

 2030年、そして2050年の世界とは?

 科学技術が加速度的に進歩し、国際社会が激動する21世紀において、未来への関心はますます高まってきている。

 未来に向かって、役割が増えるのが知識だ。現代社会は知識により新たな価値を作り出していく知識集約型社会の側面がますます強くなっており、未来社会を展望するには、これから産み出される知識について考える必要がある。例えば ――

*  *  *

池谷裕二/脳神経科学

 様々なアプローチで脳を研究する「神経科学」が、私の研究分野である。

精神疾患を治療する「薬」

 統合失調症やうつ病などの精神疾患に苦しんでいる人は多い。神経科学の1つの目的は、そうした病気の治療法を見いだすことといっていい。

 そのためには治療法のブレイクスルーが必要だ。1つには、錠剤や注射などの「投与する薬」だけでなく、より直接的に脳に働きかける操作も概念としての「薬」として採り入れること。

 例えば、「ある患者さんの脳ではAという部分の活動レベルが低く、Aを活性化させれば日常生活が送りやすくなる」ということが因果関係として解明できれば、電極や遺伝学的な方法でAを刺激するといった治療ができるかもしれない。

 もう1つの「薬」は、そうした操作を外部からではなく自分自身で行えるようにすること。実は、人間は自分の脳の様子をモニター画面で見ながら「この部分の活性を上げよう」と意図すると上げられることがわかっている。つまり、自分で自分の脳を変化させることができるのである。

 これは私の研究テーマの「可塑性」とも深く関わっている。脳が病気になるのも、病気から治るのも、ともに脳に可塑性があるからだ。また、自分で自分の脳を変化させる「自己書き換え」も脳の「隠された能力」の1つ。人間の脳は、自分で自分の限界を解き放つことができるのである。

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