ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元

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著者紹介

概要

世界の“中国共産主義化”が、着実に実現しつつある ―― 。国連の要職を中国人や親中派で固めて操る、「一帯一路」(広域経済圏構想)による発展途上国の取り込み、デジタル人民元の開発…。中国が、ポストコロナの世界で覇権につながり得る動きを進めている。それにアメリカはどう対抗するのか。米中覇権の行方を読み解く。

要約

ポストコロナを巡る米中覇権

 2020年5月、新型コロナウイルス肺炎(以下、コロナ)のアメリカにおける感染者が160万人に迫る中、中国の新規発生者は激減した。

 このコロナに関して、人類を破滅の危機に追いやっているのは中国の習近平国家主席であり、彼に忖度をしたWHO(世界保健機関)事務局長のテドロスであることは論を俟たない。

 2020年1月23日、WHOは習近平のために「緊急事態宣言」を延期した。この延期は国際世論から激しい批判を受けたため、テドロスは実態を調査してから改めて決めると弁明し、1月28日に中国入りした。だが、行った先は北京であり、コロナの震源地の武漢ではなかった。現地調査をしたのではなく、習近平に会いに行ったのだ。

 1月30日にようやく緊急事態宣言を発布したが、肝心の「中国への渡航と貿易を禁止する」という条件を付けず、緊急事態宣言を骨抜きにした。

 テドロスはエチオピア人であり、エチオピアの最大の出資国は中国だ。そして中国は、水面下でテドロスがWHOの事務局長に当選するように動いてきた。だから、テドロスは習近平に忖度する。

 その結果、ウイルスを持った中国人が全世界に散らばっていったのだから、その罪は極めて重い。

対照的な米中の戦略

 トランプ大統領は、WHOを激しく非難した。WHOは中国の操り人形で、人類に早く警告すべきだったのに習近平に忖度し警告を遅らせた。その結果、全人類にコロナを蔓延させてしまった、と。

 一方、WHOのテドロスと習近平の方は、両者の関係を象徴するかのように、2020年5月18日に開催されたWHO年次総会(オンライン会議)で、習近平が開幕のスピーチをした。

 WHOの本部はスイスにあるので、スイス大統領や国連事務総長が短い祝辞を送ったのはわかるが、3番目の習近平の長いスピーチは世界を驚かせた。なぜなら、それまでのWHO年次総会で、各国首脳が挨拶することはあまりなかったからだ。

 案の定、習近平は「人類運命共同体」という自身の外交スローガンを用いて、中国がいかにコロナで苦しんでいる国々を助けているかを宣伝した。

 一方、トランプはテドロス宛に書簡を送り、WHOが30日以内に姿勢を改善しなければ、拠出金を停止し脱退する可能性を示唆した。

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