仮想通貨vs.中央銀行

経済・経済学金融・財務・会計国際・世界情勢
  • 著者
  • 出版社
  • 発行日
    2020年6月20日
  • 定価
    1,600円+税
  • ページ数
    282ページ
要約をPDFファイルで読む 要約をPDFファイルで読む

※『TOPPOINT』にお申し込み頂き「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

今日、あらゆるものはデジタル化する。それは「おカネ」も例外ではない。フェイスブックによる新デジタル通貨「リブラ」の発行計画。すでに実用化は秒読み段階に入ったとされる、各国中央銀行の「中銀デジタル通貨」…。通貨のデジタル化を巡って世界で繰り広げられる覇権争いの行方を、日銀出身の第一人者が読み解く。

要約

リブラとは何か

 2019年6月18日、米フェイスブックが、新デジタル通貨「リブラ」のホワイトペーパー(リブラ白書)を公表した。事実上は、デジタル通貨の発行に向けた意向表明である。

ホワイトペーパーの公表に世界が騒然

 世界中に膨大な数のユーザーを抱えるGAFAの一角が、グローバルなデジタル通貨を発行しようとしているのである。予想されるインパクトの大きさから、世界中が大騒ぎになった。

 特に、世界の金融当局や米議会は、過敏ともいえる反応を示した。従来、通貨は国の中央銀行が独占的に発行するものとされてきた。それを一民間企業が発行するというのだ。通貨発行の権限を奪われる側の反発は、ある意味当然ともいえる。

 2019年10月17~18日には、ワシントンでG20(主要20カ国地域の財務大臣・中央銀行総裁会議)が開かれた。そこではリブラを念頭に置いて、「デジタル通貨は一連の深刻なリスクを生じさせることになる」との強い懸念が示され、当面は発行を認めない方針が確認された。

 各国の当局は、なぜ認めようとしないのか。それは、リブラが「通貨」として非常によくできた仕組みになっているからだ。

 短期間のうちに世界中に広く普及する可能性を秘めており、既存の法定通貨やそれを発行する中央銀行の位置づけを低下させる。そしてその背後にある国家の通貨主権を揺るがしかねないとみたからこそ、当局は厳しい対応を行っているのだ。

ビットコインとリブラの違い

 では、リブラとは何なのか。これを考える上では、世界初の仮想通貨「ビットコイン」と比較してみるのが一番わかりやすい。両者はいずれも「仮想通貨である」「ブロックチェーンの技術を利用している」などの共通点がある。一方、主な違いとしては、例えば次のような点がある。

・中央の管理者がある

 ビットコインには中央の管理者がおらず、新たな通貨の発行など、すべての管理はプログラムが行う。従って、問題が発生しても責任を持って解決する人がおらず、運営が不安定なものとなる。

 これに対し、リブラにおいては「リブラ協会」が運営の重要事項を管理することとされている。

・発行主体がある

 ビットコインには発行主体がなく、また誰の負債でもない形で発行される。

 一方、リブラは、リブラ協会が発行主体となり、新規のリブラはリブラ協会の負債として発行される。従ってリブラ協会は、利用者がリブラを円やドルに払い戻したい場合には、「法定通貨への交換」を行う義務を負っていることになる。

この要約を読んだ方は、
他にこんな要約も読んでいます。

日本経済 予言の書

鈴木貴博 PHP研究所(PHPビジネス新書)

共感経営

野中郁次郎 日経BP・日本経済新聞出版本部

ポストコロナの経済学

熊谷亮丸 日経BP

NEO ECONOMY

日本経済新聞社(編) 日経BP・日本経済新聞出版本部