2019年10月号掲載
稼ぐAI 小さな会社でも今すぐ始められる「人工知能」導入の実践ステップ
著者紹介
概要
人工知能(AI)を企業が導入する際、膨大なデータや専門のプログラマーをどうするか、と考えがち。だが、大事なのは「どのような課題(イシュー)を解決するために、人工知能を適用していくか」を考えることだ。このイシューを導くプロセスを説き、老舗食堂、ビール会社など、イシューへの人工知能の活用事例を紹介する。
要約
人工知能をビジネスに活かすには
人工知能(AI)をビジネスに活用し、競争優位を生み出す ―― 。そのために重要なこととは?
人工知能の活用をビジネスの中で具体化していくには、技術面に強い専門家(データサイエンティスト)と、仕事上の課題(イシュー)から人工知能の使用目的を考えられるビジネスパーソンの両方の視点が必要だ。
「従来の自動化」と「人工知能による自動化」の違い
人工知能は、「人間の思考プロセスをモデル化して、何らかの『処理』をしてくれるもの」だ。何らかのタスクがあれば、そのタスクをやってくれる。それは、そのタスクを「自動化する」ということでもある。
このことから、人工知能の定義は「『あるタスクの一部分』を自動化するツールである」と読み替えることができる。
では、「人工知能による自動化」は、「従来の自動化」とは何が違うのか。
従来の自動化は、人間があらかじめ記述した行うべきこと(手順)を、自動的に実行するものだ。例えば、ロボットが製品を作る場合、ロボットが動作する手順が内部に記述されており、それを順番に動かしているだけである。
一方、人工知能による自動化では、人工知能に適切な「訓練データ」を与えれば、データが示す過去の経験から学習し、そのデータが記述する範囲内でパターンを見つけ出し、自動的に判断し、それに基づいて適切な動作を行うことができる。
「自動化」の価値を最大化するイシューとは
人工知能を使いこなすためには、考えないといけないことがある。それは「何に対してそれらのツールを使うか」だ。つまり「イシュー」である。
この「何に対して」が社会のニーズとマッチすれば、人工知能の利用価値は上がるだけでなく、よりインパクトの高い価値を持ったサービスを生み出すことができる。
だからこそ、自社が持つ解決すべきイシューを明確にすることが重要になる。