2017年7月号掲載
Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法
Original Title :Airbnb Story
著者紹介
概要
「赤の他人を誰かの家に泊めさせる」という、奇妙で大胆なアイデアを形にし、今やシェアリングエコノミー企業を代表する存在となったAirbnb(エアビーアンドビー)。同社はいかにして生まれたのか。なぜ多くの旅行者を惹きつけるのか。創業話から対立するホテル業界の動向まで、緻密な取材を基に多面的にAirbnbを描き出す。
要約
エアビーアンドビーの誕生
エアビーアンドビーの創業話はもう、シリコンバレーでも世間でも語り草になっている。
サンフランシスコに住む2人のデザイン学校卒業生が失業し、家賃の支払いに困っていた。2007年10月、地元のホテルが国際デザイン会議で満杯になるタイミングを狙い、自宅の空きスペースにエアマットを敷いて貸し出すことにした ―― 。
すごいビジネスになるとは夢にも思わず
2人の卒業生とは、ブライアン・チェスキーとジョー・ゲビアのこと。彼らには、数千人のデザイナーがサンフランシスコに来てホテルが満員になり、値段が釣り上がることがわかっていた。
そこで朝食付きで安い寝床を提供することにし、コンセプトを宣伝するウェブサイトを立ち上げる。サービス名は「エアベッド&ブレックファスト」。
2人は会議の主催者にメールを送り、サイトを宣伝してほしいと頼んだ。すると協力が得られ、数日もしないうちに3人から予約が入った。
その週末に2人は1000ドルを稼いだ。だからといって、このアイデアがものすごいビジネスになるとは思わなかった。本物のビッグアイデアを考えるまでの時間稼ぎだと思っていた。
2人はまた、起業アイデアをいろいろ考え始める。ゲビアの知人、エンジニアのネイサン・ブレチャージクも引き入れ、3人で延々と話し合った。だが、アイデアを思いついても、そのビジネスはすでにあることがわかり、気持ちが折れた。
一方、エアベッド&ブレックファストの宣伝には慣れてきた。そして、考え始めた。
「もしかして、これが本命?」
サウスバイでの惨敗、“創業の父”との出会い
チェスキーとゲビアは、エアベッド&ブレックファストを立ち上げることにした。
新しいサービスを発表する舞台もあった。「サウス・バイ・サウスウェスト」だ。テキサス州オースティンで開かれるこの祭典は、アメリカのテクノロジー業界最大のイベントになっていた。