2017年4月号掲載

欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防

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著者紹介

概要

テレビや雑誌が盛んに勧める、欧米発の健康法。だが、欧米人と「体質」の異なる日本人が取り入れても、効果があるとは限らず、有害なことすらある! こう警鐘を鳴らす医師が、「赤ワインで心臓病予防」「筋肉をつけて脂肪を燃やす」等々の健康法の問題点を指摘。日本人の体質に合った病気予防法を、科学的な観点から説く。

要約

欧米人と日本人は「体質」が違う

 骨を強くするために牛乳や乳製品をつとめて摂取する。糖尿病予防やダイエットのために炭水化物(糖質)を控える…。こうした健康法は、実は、すべて間違いである。正確に言うと欧米人には有効でも、日本人には効果が期待できない。日本人と欧米人は「体質」が違うからだ。

体質とは何か

 体質とは何か。辞書、例えば『大辞泉』を引くと、体質はこう定義されている ―― からだの性質。遺伝的素因と環境要因との相互作用によって形成される、個々人の総合的な性質(以下略)。

 ここで注目してもらいたいのが、「遺伝的素因と環境要因との相互作用によって形成される」という部分だ。体質というと、生まれつき備わった遺伝的素因だけに目を向けがちだが、環境要因も体質に大きな影響を及ぼすと考えられていることがわかる。ここでいう環境要因は、食生活、喫煙、細菌やウイルス、運動、ストレス、睡眠など、体に影響を与え得るすべての出来事と行動を含む。

 病気の発生には、遺伝的素因と環境要因が様々な割合で関係する。遺伝的素因が大きな原因となるのが、筋ジストロフィー、血友病など遺伝子の異常により発生する遺伝子病。環境要因の影響が大きいのが、骨折などのケガである。

 そして、遺伝的素因と、生活習慣を含む環境要因の両方が発生に影響するのが、糖尿病などの生活習慣病、がん、感染症だ。

 このように病気の発生に関わる体質にも、遺伝子によって決まり、基本的に一生変わらない部分と、生活環境やストレス、食生活などの生活習慣によって変わる部分があり、日常生活においては、これらをひっくるめて「体質」と呼んでいる。

体質には遺伝と環境がからみあう

 がんや感染症などの発症には、遺伝子変異を含む遺伝的素因が関係する。しかし、遺伝子に変異が起きたら全員が病気を発症するかというと、そうではない。あくまでも発症する可能性が高くなるだけだ。その理由はいくつかある。

 まず、たいていの病気には複数の遺伝子が関係しており、遺伝子変異が1カ所で起きただけで病気が発生するのはまれだ。また、体には、がん化した細胞などを殺したり、体の外に追い出したりする防衛機能がある。この機能にも遺伝的素因に基づく個人差があるので、同じように危険にさらされても誰もが病気になるわけではない。

 例えば、一卵性双生児はまったく同じ遺伝子を持っているので、同じような病気になりやすいとされる。しかし調査したところ、実際には2人そろって同じ病気になる確率は意外なほど低かった。

 なぜかというと、遺伝子にはスイッチがあって、生活習慣を含む環境要因がスイッチを入れたり切ったりすることで遺伝子の作用を調整しているからだ。病気と関連する遺伝的素因を両親から受け継いでも、何らかの環境要因が遺伝子の作用にブレーキをかけてくれれば病気になることはない。

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