2016年10月号掲載

闇ウェブ

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著者紹介

概要

インターネット空間の奥底に、サイバー犯罪者がうごめく「闇(ダーク)ウェブ」がある。麻薬、個人情報からサイバー攻撃の請負まで、扱われる違法商品は多岐にわたる。その実態をサイバーセキュリティの専門家集団が解説。サイバー犯罪の餌食にならないためには、現実を知り、それぞれの立場で向き合うことが大切だと訴える。

要約

サイバー闇市場の実態

 2015年5月、米国人の青年に、ニューヨーク州の連邦地方裁判所で終身刑が言い渡された。

 青年の名は、ロス・ウィリアム・ウルブリヒト。容疑は麻薬販売の共謀、コンピューター・ハッキングなど全部で7件。そのすべてで有罪となった。

 この若者は、史上最悪のサイバー闇市場と呼ばれた「シルクロード」の創設者・運営者だった。

 シルクロードは2011年に開設された、違法薬物をオンラインで販売するための闇市場である。その規模の大きさや商品の多様さから「薬物のイーベイ」「闇のアマゾン」とも形容されていた。開設から約2年半の間に、120万件の違法取引が行われていたといわれる ―― 。

検索エンジンの届かない世界

 現在、インターネットの世界は3つに分かれている。誰もがアクセスできる自由な空間と、限られた一部の人だけが触れられる空間、そしてサイバー犯罪者たちが跋扈する闇の空間だ。

 1960年代、米国でインターネットの原型となる「ARPANET」が誕生した。その後、急成長を遂げたインターネット空間には、膨大な数のウェブコンテンツが存在するようになった。

 英国のインターネット・サービス企業が2016年に発表したデータによると、10億388万7790のウェブサイトと578万2080台のウェブサーバーがインターネット上で確認できたという。

 これらは誰もがアクセスできる自由な空間であり、インターネットの表層という意味から「サーフェイスウェブ」と呼ばれる。ヤフーニュースやブログなど、一般的なウェブサイト群のことだ。

 ディープウェブという言葉の響きから、何かアンダーグラウンドな世界を想起するかもしれないが、ここに存在するウェブコンテンツの大半は、多くの人にとって馴染みのものだ。Gメールといったウェブメール、楽天市場といったECサイトのマイページ、ツイッターといったソーシャルメディアの非公開ページなどがそれに当たる。

 これらのサービス自体は検索エンジンの収集対象だが、ログイン(認証)が必要な個々のウェブコンテンツまでは辿り着けない。

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