2016年4月号掲載

貞観政要

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著者紹介

概要

源頼朝、徳川家康、明治天皇…。多くの為政者が統治の術を学んできたとされる中国古典『貞観政要』。唐王朝の名君・太宗と、その名臣たちとの政治問答を集めたものだが、記されている教訓は、今なお色褪せずに輝きを放っている。帝王学の教科書として名高いこの書を、中国古典研究の大家・守屋洋氏が現代語訳で紹介する。

要約

治世の要諦

 『貞観政要』は、名君の誉れ高い唐の太宗と、それを補佐した名臣たちとの政治問答集である。本家の中国はむろんのこと、日本においても帝王学の教科書として長く愛読されている ―― 。

身理まりて国乱るる者を聞かず

 貞観初年のこと、太宗が側近の者にこう語った。

 「天下の安泰を願うなら、まず、おのれの姿勢を正す必要がある。(中略)私はいつもこう考えている。身の破滅を招くのは、ほかでもない、その者自身の欲望が原因なのだ、と。いつも山海の珍味を食し、音楽や女色にふけるなら、欲望の対象は果てしなく広がり、それに要する費用も莫大なものになる。そんなことをしていたのでは、肝心な政治に身が入らなくなり、人民を苦しみにおとしいれるだけだ。(中略)私はいつもそのことに思いを致し、極力、おのれの欲望を抑えるようにつとめている」

 側近の魏徴が答えた。

 「昔から、聖人とあがめられた君主は、いずれもそのことを自ら実践した人々であります。(中略)かつて楚の荘王(春秋時代の覇者の1人)が、賢人の詹何を招いて政治の要諦をたずねたところ、『まず君主がおのれの姿勢を正すことです』と答えました。(中略)陛下のおっしゃったことは詹何のこの言葉とまったく同じであります」

草創と守成といずれか難き

 貞観10年、太宗が側近の者にたずねた。

 「帝王の事業の中で、創業と守成といずれが困難であろうか」

 宰相の房玄齢が答えた。

 魏徴が反論した。

 「一旦、天下を手中に収めてしまえば気持がゆるんで、自分勝手な欲望を抑えることができなくなります。(中略)人民が食うや食わずの生活を送っていても、帝王の贅沢三昧のための労役が次から次へと課せられます。国家の衰退を招くのは、常にこれが原因になっています。このような理由で、私は守成こそ困難であると申しあげたい」

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