悪魔は細部に宿る

マネジメントスキル・能力開発
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著者紹介

概要

副題「危機管理の落とし穴」。今日、危機管理の書籍は数多あるが、大半はマニュアルの整備、情報収集などの原則論を述べたもの。だが、本書は一味違う。危機管理は「上手くいかなくて当たり前」、かく語る危機管理の専門家が東日本大震災や韓国のセウォル号事故など、様々な事例の問題点、失敗を分析。そこから引き出した教訓、“危機管理の極意”を述べる。

要約

東日本大震災を振り返る

 今日、「危機管理」関連の書籍は多い。しかし、詰まるところは、次の3点の原則を説明しているだけである。

    • ・正確な情報を収集することが肝心だ
    • ・トップがリーダーシップを発揮せよ
    • ・危機管理マニュアルを整備し訓練を反復せよ

 もちろん、この3点が間違いというわけではない。しかし、こうした原則論だけで何とかなるほど、危機管理は甘いものではない。

 何しろ緊急事態がひとたび生起すると、限られた時間、情報、選択肢の中で、何とか収拾しないといけない。危機管理の渦中では、失敗が起きるのは当然で、状況の変化に合わせて知恵を絞って、少しでもベターな解決を模索していく以外にない。

 そこで必要とされるのは、様々な要素を組み合わせて分析する知性と、具体的な対策を編み出していく概念化能力、そしてバランスを持って全体の得失を判断する大局観である。

 そうした能力を鍛えるための一助となるよう、事件事故などの様々なエピソードを、危機管理の観点から考察していきたい。

自らの判断で行動してわが身を守れ

 まずは、東日本大震災を振り返ってみよう。

 2011年3月12日、福島第一原発1号機の建屋が爆発する映像をテレビで見た。筆者は、あれは原子炉の格納容器内の水蒸気爆発であり、大量の放射性物質が放出されたに違いないと判断した。

 何か対策を打たないと、やがて2号機、3号機も爆発するだろうと、頭の中を絶望的なシナリオが駆け巡った。だが、周囲の人は平然としている。

 結局、関係者の尽力のおかげで、最悪の事態は回避された。しかし、「日本国民はパニックに陥ることなく、冷静に対応した」という評価には釈然としないものがある。

 当時、外資系企業が社員をどんどん日本から引き揚げたことに対し、マスコミは過剰反応と批判した。しかし、外資系企業の反応は常識的であって、むしろ日本側がリスク管理に鈍感すぎる。

 原発に対してさほど知識のない方でも、あの爆発映像を見て不安にかられたことは間違いあるまい。「それでは、どうして家族を避難させなかったのか」と何人かに尋ねると、「周りの人がそうしなかったから」という答えが戻ってきた。

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