2015年5月号掲載

オープン・イノベーションの教科書 社外の技術でビジネスをつくる実践ステップ

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著者紹介

概要

かつて「Japan as Number One」と評された日本の製造業も今や、苦戦を強いられている。そんな中、注目したいのが、必要に応じて外部の知見を活かす「オープン・イノベーション」だ。フィリップス、P&Gを筆頭に、国内外の企業が導入し、成果を上げつつある。この新たな研究開発の手法について、“教科書”の名の通り、定義から具体的な活用法まで詳しく紹介。

要約

広がる新しい研究開発の手法

 日本の製造業は、1970年代から80年代まで急成長を遂げたが、90年代以降は苦戦している。

 韓国、中国などライバル国の台頭、IT化やグローバル化への乗り遅れ…。苦戦の要因は様々だ。

 特に90年代になると、技術の多様化が急激に進み、研究開発のすべてを自分たちだけで行っても市場のスピードについていけなくなった。

 そうした中、必要に応じて外部の技術を利用することで研究開発をスピードアップさせる、「オープン・イノベーション」の発想が芽生えてきた。

 これは、モノづくりの過程で見えてきた課題に対し、自分たちだけで解決することにこだわらず、必要に応じて社外から最適な策を探し出すことで、より迅速に課題を解決するための手段である。

フィリップスの「ノンフライヤー」の大ヒット

 2000年頃から、オープン・イノベーションは世界中で急激な広がりを見せている。そして、この仕組みを活用し、実績を上げる企業も出てきた。

 例えば、オランダのフィリップス。同社が開発した「ノンフライヤー」は、「油を使わずに揚げ物をつくれる調理器」として、100カ国以上で320万台以上を売り上げた。

 油を使わずに揚げ物をつくる技術は、これまでも各社が血眼になって求めていた技術である。製品化されたものも一部あったが、調理時間が長く、味の質も悪く、成功と呼べるものはなかった。

老舗企業の復活を賭けた社外技術の導入

 フィリップスは、かつては照明や医療機器、半導体やAV機器分野で高い技術力を誇っていた。だが2001年、2002年に巨額の赤字を出す。その後、選択と集中に徹し、7つあった主要事業は、家電、照明、医療機器の3つに絞り込んだ。

 そんな同社が、オープン・イノベーションを戦略に掲げたのが2004年。同年からの活動開始後、ノンフライヤーのヒットなど着実に実績を積み上げた後、10年に発表した全社戦略の中で、オープン・イノベーション活動に舵を切った。

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