2014年1月号掲載

文明が衰亡するとき

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著者紹介

概要

「衰亡論は、我々に運命を考えさせる」 ―― 。こう語る著者が、巨大帝国ローマ、通商国家ヴェネツィアなどの国家、文明の興亡を本書で描いたのは、30年余り前のこと。その間、世界第2位の経済大国だった日本は3位に転落し、代わって中国が2位に浮上した。そんな今だからこそ、改めて読みたい。「我々の運命」を考えるために。

要約

巨大帝国ローマの衰亡

 衰亡論には、不思議に人を惹きつけるものがある。昔から今まで人々は、過去の文明や現在の文明について、種々の角度から衰亡を論じて来た。

 中でも、ローマ帝国の衰亡ほど、繰り返し扱われて来た主題は他にない。

 人々は、ローマ帝国はなぜ衰亡したかを考え、自らの文明に思いを馳せて来た。それ故、実に多種多様の衰亡論がこれまでに提出されて来た。

蛮族の侵入とエリートの衰頽

 まず、最も単純明快な説として、ローマは蛮族の侵入によって亡ぼされたとする説がある。

 すなわち、北方の、粗野なゲルマン民族は、早くから帝国の頭痛の種子であったが、4世紀には彼らの「民族大移動」の圧力は一層激しくなった。ローマ帝国はそれを防ごうとして果たせず、結局、打ち倒されたのであった。

 第2に、ローマ帝国を建設した人々と衰亡期のローマ人とは、全く異質のものであったとして、人間の変化を強調するものがある。

 例えば、ローマを発展させたエリートたちの家系が絶滅し、それに代わって秀れた新エリートが出現しなかったことを強調する説がある。

ハンチントンの気候変化説

 以上が人間説とでも言うべきものであるが、衰亡論の第3に、自然的要因を強調するものがある。

 すなわち、地中海地方は紀元前450年から250年までは雨に恵まれ、よい気候であったが、その後、気候は次第に悪化し、乾燥するようになった。

 その結果、イタリアの農業の衰頽と崩壊が起こった、とハンチントンは論じた。

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