2011年3月号掲載

無縁社会の正体 血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか

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著者紹介

概要

近年、誰にも看取られずに死亡する「孤独死」が増えている。その要因として、1人で生活する人の激増が挙げられる。本書は、こうした一人ぼっちで暮らす社会、すなわち「無縁社会」について考察したもの。子どもと別居する高齢者の増加、生涯に一度も結婚しない人々の増加…。各種統計に基づき、家族の絆が失われつつある今の社会の実態を明らかにする。

要約

高齢単身者の激増という悲劇

 「行旅死亡人」という言葉がある。

 引き取り手のない無縁死の遺体のうち、地方自治体や警察で調べても、名前さえわからない人のことを指す法律用語である。

 行旅死亡人ほどひどくはなく、すなわち名前や身元がはっきりしておりながら、誰にも看取られずに死亡する人も年間3万2000人近くに達している。この現実が、2010年1月31日、NHKテレビの『無縁社会』という番組で報道され、大きな反響を呼んだ。

 「孤独死」の数がこれだけ多いということは、他人との接点がなく生活している人が急増していることを意味する。つまり日本は、「無縁社会」に突入したということになるのである。

孤独死の増加

 では、孤独死はどれほど増加しているのか。

 都市再生機構の賃貸住宅における孤独死の数を調べた統計がある。

 これによると、1999年の孤独死は総数で207名、65歳以上が94名。それが、06年では総数で517名、65歳以上で326名と急増した。

 7年間のうちに総人口で約2.5倍、高齢者で約3.4倍増加したことになる。

単身者の急増

 孤独死の増加した理由を説明する1つの要因として、世の中に単身者が激増していることがある。これは、無縁社会を象徴する現象である。

 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、1980年代は20%前後だった「単独世帯」が、2010年には31.2%、30年には37.4%と、実に4割弱が単独世帯になる。

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