2003年12月号掲載

「情」の管理・「知」の管理 組織を率いる二大原則

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著者紹介

概要

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される」と言われるように、組織を管理する人々にとって「知」と「情」は厄介な問題である。本書は、徳川家康や豊臣秀吉、上杉鷹山など、先人の言動から、職場における「知と情の管理学」を学ぼうとするもの。歴史から現代への教訓を読み取る著者の具体的な考察は、組織を率いる、新時代の管理者像を浮かび上がらせる。

要約

「情」の管理と「知」の管理

 「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」 ―― 。夏目漱石のこの文章は、組織における人間管理にもあてはまる。

 つまり人事管理は、「知による管理」と「情による管理」の2つに分けて考えることができる。知のみで管理すれば角が立ち、情のみの管理を展開すれば流されて、組織は滑らかに運営されない、ということだ。

 しかし、知と情は、適当に組み合わせればいいというものでもない。そのノウハウは非常に難しい。なぜなら、それには相手があるからだ。「とかくに人の世は住みにくい」のである。

 さて、そもそも何のために「管理」するのか。これは「組織目標を達成する」と「その過程で、部下に生き甲斐を感じさせる」の2つになるだろう。

 従って、強制して部下を自分の思い通りに動かすのではなく、部下の持っているものを引き出しながら育てる、という要素が入ってくる。

 部下を育てることは、「塔と道と橋」にたとえられる。

 塔とは目標である。道はその目標を達成する手段。橋は、その道の行く手に立ちふさがる川、すなわち、障害を乗り越える特別な方法である。

 管理とは、1つは「塔を設定し、道筋を示し、川に橋を架ける」ということだ。

 「情の管理」とは、一言でいうと、部下に「塔に向かって、自分の足で歩いて行こう」という気を起こさせることである。しかし、このことほど、言うはやすくして、行うのが難しいものはない。

 一方、「知の管理」とは、塔と道と橋の存在を認識させることだ。それも、部下が自分の眼で確かめ、考え、判断し、納得するように導くことである。つまり、管理者は、部下の知性に訴え、刺激することが求められる。

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