2025年7月号掲載

忙しいのに退化する人たち やってはいけない働き方

Original Title :Pseudoarbejde (2018年刊)

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著者紹介

概要

無意味で、成果を生まず、影響力もない。働いた分だけの成長が感じられない ―― 。今、世界で増えている「偽仕事」について、人類学者と哲学者が考察した。仕事の歴史を振り返り、偽仕事が生まれ、広がった経緯を語るとともに、生産性と充実度が高い働き方を実現するヒントを示す。各国語に訳され、広く読まれている話題作。

要約

予想外の未来

 1930年、イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは言った。「未来では、人々はおそらく自由時間をもてあましている」。

 テクノロジーと社会全体の豊かさのおかげで、2030年までに平均労働時間は週に約15時間となるというのだ。

 実際に労働時間は短縮された。例えば、デンマークの鉄鋼業では、1900年に週60時間だった労働時間は、90年に37時間となる。だが、そこで止まり、フルタイムの仕事は今でも週37時間だ。この傾向は、他の欧米諸国でも変わらない。

 なぜ、いまだにそんなに働いているのか?

効率を求めて「管理する仕事」が増殖

 「普通の人間は、ゆっくりと気楽なペースで仕事をしがちである」。フレデリック・ウィンズロー・テイラーは、100年以上前にそう言った。

 テイラーの考えでは、フォードなどの大工場の労働者は、実はほとんど何もしていないのに忙しく見せかけているという。彼の解決策はこうだ。生産性を一連の作業に分け、それぞれ時間を計って、正確にどれだけかかるかを管理者が把握する。

 テイラーは大きな影響を及ぼし、現代的な「管理(マネジメント)の創始者」と見なされている。

 だが、テイラーの管理体制は予期せぬ結果を生む。彼のアイデアが職場の隅々まで行きわたると、他人の行動を監視することを主な仕事とする人が増えた。工場でも報告書を書く人が増え、それを吟味し決定を下す管理者もますます増えていく。

 実際、新しい管理の層がまるまる1つ現れた。その目的は、大量の情報を絶えず処理することだ。そのために管理職がどんどん増えていく。効率性の名のもと、オフィスは膨張していった。

知識労働者 ―― オフィス族の新顔

 このように仕事の歴史を振り返ると、くり返し見られる特徴がある。誰かがプロセスを効率化して時間を節約する方法を編み出すたびに、他の誰かがその時間を使う新しい手段を見つけるのだ。

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