2024年3月号掲載

西郷南洲翁遺訓 高潔な精神と広い度量

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著者紹介

概要

幕末~明治を生きた政治家・軍人、西郷隆盛。その人気は絶大で、晩年、鹿児島で暮らす彼の下を多くの人が訪ねたという。その時、聞き書きした言葉を編纂したのが1890年刊の『西郷南洲翁遺訓』だ。リーダーシップを執る人の資質や人材の用い方など、指導者の徳を磨くための教えが記されたこの古典を、平易な現代語訳で紹介する。

要約

『西郷南洲翁遺訓』

 『西郷南洲翁遺訓』は、西郷隆盛の言葉を集め編纂したものである。

リーダーシップを執る人の資質とは

 政府の役人となって国の政治を執り行うことは、天が指し示す道理を現実の世で実践していくということである。自分自身はもちろん、出身地や出自が有利になるよう取り計らうなど、わずかでも私心を差し挟むようなことをしてはならない。

 今、重要な役職や地位にある者は、どんなことがあろうとも心を公平にすること。そして、天の道理を実践することだ。さらには、有能だと思われる人物がいることがわかったら、すぐにでもその人に役職を譲れる気構えを持たなければならない。重要な官職は、その任に耐えられるだけのすぐれた人物を選んで、任務に就けるべきだ。

長所を活かす人材の用い方を

 また、人材を採用する時は、よほど考慮したい。例えば、世の中には君子と呼ばれるほどの教養があり、才能に溢れる人物が必ずいる。一方、いわゆる小人、つまりありきたりの凡人もいるものだ。

 この区別を厳しくしすぎて、なにかにつけて優れた人物だけを採用し、凡人を退けるなら、かえって問題を引き起こしかねない。なぜなら、世の中では10人のうち7、8人までは凡人だからだ。

 凡人といえども、どこかしら長所があるはずだから、それを活かせるような役割につけるべきだ。藤田東湖先生は、こうおっしゃったことがある。

 「小人であるほど細かな特技を持っていたり、一芸に秀でていたりするものだ。それぞれの器量に応じて、この小才を活かすべきだ。しかし、だからといって小人を上に立つ者に担ぎ上げるのはよくない。彼らを重要な職務に就かせると、組織や国までも滅ぼしかねない振る舞いをするからだ」

策略で切り抜けようとしても失敗する

 どんなことであろうとも、道理にかなった正しい道を選び、真心を尽くすこと。決してその場しのぎで人を欺くようなやり方を用いてはいけない。

 正しい道を歩もうとすると、回り道をしているように見えるかもしれない。けれども先々ではかえって早く事を成し遂げることができるもの。急がば回れということなのである。

猿真似は国を滅ぼす

 新しく国造りを始めるにあたって、広く欧米各国の制度を取り入れて文明開化を推し進めようとするならば、それよりも前にやるべきことがある。

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