2022年12月号掲載

デザイン思考 マインドセット+スキルセット

デザイン思考 マインドセット+スキルセット ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

デザイン思考とは、優れたデザイナーの思考・行動パターンを体系化したもの。特別なノウハウやセンスがなくとも、イノベーションの創造を可能にする思考法だ。その最前線を知る著者が、問題の発見から解決、プロトタイプの開発まで、一連のプロセスを解説。誰もが「デザイナーのように思考する」ためのテクニックを明かす。

要約

「デザイン思考」とは何か

 「デザイン思考」は、イノベーションを日常的に行うための思考法の1つである。

 デザイン思考では、人間を理解することが求められる。さらに、アイデアを考えるだけでなく、アイデアを実行することを求められる。そして、そこから得られた情報をもとに修正を繰り返す。

 その実現には、「創造力に対する自信」が必要となる。創造力とは、絵を描く、作曲するといった能力ではなく、我々を取り巻く世界を理解する能力である。創造力こそが人間にとって最も貴重な資源であり、デザイン思考はこの資源を引き出し、活用するための思考法である。

5つのマインドセット

 デザイン思考は、スタンフォード大学とデザイン・コンサルタント会社のIDEOが連携し、体系化した。そのベースとなったのは、優れたデザイナーの思考法である。

 デザイン思考では、イノベーションを効率的に生み出すために、優れたデザイナーが日常的に行う「マインドセット(思考・行動のパターン)」を活用する。優れたデザイナーの思考には、次のような5つの特徴がある。

  • ①人間を中心に思考する。
  • ②言葉や数値だけでなく、積極的にビジュアル(スケッチ、試作品)による表現方法を使用する。
  • ③ビジュアルや言語の情報を通じて、対象となる人や協働者との対話と修正を何度も繰り返す。
  • ④ものの見方、考え方の枠組み(フレーム)を変化(リフレーム)させて、従来の枠組みでは捉えられない問題に気づく、あるいは異なるアプローチによって問題を解決する。
  • ⑤人々が活動する現場における人間の観察から始めて、検証に至るまでのステップを繰り返す。

 優れたデザイナーは、このような特徴的な思考を通じて、与えられたテーマに対して手がかりを見いだし、それをもとに問題を発見する。そして、その問題を解決する体験を創造し、従来とは異なる価値を持つ製品やサービスを生み出すのだ。

 

観察によって人間を理解する

 デザイン思考のスタートは、人間の行動や感情によって生まれる“現実”にある。人々の行動を現場で「観察」し、観察対象者に「共感」することによって、問題を創造的に発見するのだ。スタートがアイデアではなく現実にあるところが、従来の思考法と大きく違うところである。

広義の観察

 観察は、「観る」「聴く」「試す(観察者が体験)」「(文献や資料を)読み込む」「真似る」の行動によって構成される。これらの観察手段によって情報を獲得し、共感につなげるのだ。

 「試す」「真似る」は一見、非効率に思える。しかし実際に自身の身体を使うことは、他者を理解する上で効果的だ。身体を使うことで、観るだけでは得られなかった情報を得ることができる。

この本の要約を読んだ方は、
他にこんな本にも興味を持たれています。

妄想する頭 思考する手 想像を超えるアイデアのつくり方

暦本純一(編) 祥伝社

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ダニエル・ピンク 三笠書房

アイデアのつくり方

ジェームス・W・ヤング CCCメディアハウス

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

佐宗邦威 ダイヤモンド社