2021年4月号掲載

教養としてのAI講義

Original Title :Artificial Intelligence:A Guide for Thinking Humans

IT・インターネット科学・技術・環境社会・政治
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著者紹介

概要

音声認識、自動翻訳、自動運転…。2000年代半ば以降、人工知能(AI)は急速に進歩し、研究開発に大金を投じる企業も多い。だが、これまでAIは、ブームになっては成果を生まず、というサイクルの繰り返し。今回の“AIの春”に際し、本書は、現況、見通し、道徳的な問題など、知っておきたいことを多面的かつやさしく説く。

要約

人工知能が辿ってきた道のり

 「人工知能(AI)」。この用語の名づけ親は、ジョン・マッカーシーという数学者だ。

 大学の学部生時代に、思考する機械をつくるという発想に興味をそそられた彼は、1955年、28歳の時にダートマス大学の数学科教員になった。

 彼はかつて、プリンストン大学大学院で出会ったマーヴィン・ミンスキーや、ベル研究所のクロード・シャノン、IBMの電気工学技術者ナサニエル・ロチェスターらと共同研究を行っていた。1956年、マッカーシーは彼らと共に、ダートマス大学で「人工知能の研究会」を開催した。

 マッカーシーは、この分野の可能性を楽観視していた。そして1960年代初め、「10年以内に完ぺきな知能を持つ機械を実現する」という目標を掲げ、スタンフォード人工知能研究所を設立した。

AI開発の手法は細分化

 だが、「完ぺきな知能を持つ機械」はまだ実現していない。そもそも、その中心的な概念である「知能」が今なお明確に定義できていないのだ。

 人間の知能はIQ(知能指数)で測られるが、それはあくまで1つの尺度であり、感情、言語、空間認識、論理、芸術性、社会性といった知能の様々な面も重要だ。AI研究者たちは、こうした様々な違いをほとんど無視してきた。

 1956年のダートマス会議では、AI開発の正しい取り組み方について参加者が支持した案は様々だった。数学者たちは、合理的思考を語る手法として数理論理学と演繹法を推奨した。別の者たちは、データを統計的に分析したり、確率を用いて不確実性に対処したりできるプログラムを利用する帰納法を支持した。

 一方、人間の脳のようなプログラムをつくるためには、生物学や心理学から発想を得るべきだと固く信じる者たちもいた。

 驚くべきことに、こうした様々な方法の各支持者たちによる議論は、現在でもまだ続いている。その間、どの手法も独自の技法を数多く生み出し、そうした専門分科は横の連携がないまま、それぞれ専門的な会議や専門誌によって細分化が進んだ。

「バブルと崩壊」のサイクル

 AIの領域に「記号的AI」がある。そのプログラムには、人間にわかりやすい言葉や句(「記号」はその総称)とルールが含まれている。プログラムは、このルールに従って記号を処理し、与えられたタスクをこなす。

 この記号的AIの支持者は、会話と言語の理解、ロボット操縦、自動運転車などの領域で近い将来画期的な成果が期待できると主張し、政府などに助成金を申請した。だが、画期的な成果は実現せず、資金提供機関は助成金を大幅に削減した。

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