悪党たちの大英帝国

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著者紹介

概要

偉大さとは、その者の業績の善悪で決まる。たとえ、それを行ったのが「悪党」であっても ―― 。6人の妻を娶り、うち2人を処刑したヘンリ8世から、帝国主義者でアジア・アフリカの人々を見下したチャーチルまで。16~20世紀のイギリスを動かし、世界に冠たる大英帝国を築いた“悪いやつら”の実像から、歴史を繙く。

要約

ヘンリ8世:「暴君」の真実

 権力とは腐敗する傾向にある。絶対的な権力は絶対的に腐敗する。

 これは、19世紀イギリスを代表する歴史家アクトン男爵の言葉である。有名な言葉だが、そのすぐ後に続く次の言葉は意外に知られていない。

 偉大な人物というのは大概いつも悪党ばかりである。

 そこで、世界に冠たる大英帝国を築いてきた“悪党”たちの姿に迫ろう。

「好色漢」「残虐性」「浪費癖」

 テューダー王朝(1485~1603年)2代目の君主ヘンリ8世(在位1509~47年)は、イギリス史上で最も毀誉褒貶相半ばする王様といってもよい。

 まずは、その「好色漢」としての悪評である。6人の妻を娶り、そのうち2人が離縁され、2人が処刑され、1人は出産後すぐに亡くなった。また、愛妾として彼の子を宿した女性も数知れない。

 次に、その「残虐性」。ヘンリは公の場で最も多くの処刑を行わせた王だったかもしれない。上記2人の王妃に加え、枢機卿1人、貴族とその家族20人以上、そして宗教的な反乱に加担したものなどを含めれば優に200人を超える。

 そして「浪費癖」もすさまじかった。英雄気取りのヘンリが海外遠征で費やす戦費はもちろん莫大だったが、平和な時も彼は金を使いまくった。

早世した兄の「代打」

 ヘンリ8世の父ヘンリ7世は、1485年にテューダー王朝を打ち立てた。

 当時、イングランドはヨーロッパでは弱小国にすぎなかった。そうした中、ヘンリ7世が頼ろうとしたのが、新興の大国スペインだった。そして彼は長男アーサーとスペイン女王イサベル1世の末娘との婚礼を整える。ところが、婚礼からわずか5カ月後にアーサーが亡くなってしまう。

 そこでアーサーの「代打」として登場することになったのが、ヘンリ8世である。父ヘンリ7世の愛情はアーサーに集中して注がれ、次男ヘンリにはまったく関心がなかったとさえ言われている。

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