自分を思いやる練習

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著者紹介

概要

日本人は自らに厳しい。物事がうまくいかないと、つい自分を責めてしまう。しかし、穏やかに日々を過ごすには、厳しさではなく、「やさしさ」が必要。本書では、自分を思いやるための方法、「セルフ・コンパッション」を紹介。自分の気持ちや考えをやさしく受け入れ、自己と他者の共通性に気づくことで、幸福感を高める手法だ。

要約

セルフ・コンパッション

 世の中は、いつもよいことばかりではない。受け入れがたい現実を突きつけられた時、私たちは簡単に傷ついてしまう。

 そんな時は、現実を受け入れ、自分に思いやりの気持ちを向けて傷を癒し、前向きな気持ちを取り戻す力が必要になる。

 その方法の1つとして、今現在の自分自身を受け入れ、やさしい気持ちを向ける「セルフ・コンパッション」がある。これは、日本人にとって大切な心の持ちようだ。

日本人は神経症傾向が高い

 日本人は、勤勉な国民性で知られている。時間通りに出社し、真面目に一日中働くことを美徳とする文化に生きている。

 心理学的に言えば、真面目さは勤勉性というパーソナリティ特性の特徴で、勤勉性が高い人は仕事のパフォーマンスもよい。だが、日本人が他国よりも高いのは、実は勤勉さではなく、「神経症傾向」と呼ばれるパーソナリティである。

 神経症傾向とは、不安や恐怖、怒りなどの否定的感情の経験のしやすさのことである。

 神経症傾向が高い人は、失敗しないように仕事を慎重に進め、言われたこと以上の緻密な仕事をする傾向がある。国際的にもこうした仕事ができる民族は多くなく、日本人の仕事が高く評価される理由の1つとなっている。

自己犠牲の文化に必要なセルフ・コンパッション

 こうした日本人の仕事に対する考えの中に、「自己犠牲」がある。自己犠牲とは、自分のやりたいことや自分の体調はともかく、会社にできるだけ奉仕すべきという考え方だ。

 人のために尽くすと、心地よく感じたり、いつもより頑張れたり、人とのつながりが深まったりする。会社としても、組織の結束力が高まるというよい面があり、自己を犠牲にする人を高く評価する。しかし、全力で会社に尽くすということは、自分を犠牲にすることにもなりかねない。

 我々は、言われた以上に人のために尽くすことを美徳とする文化に生きている。自己犠牲を苦痛だと感じてはいない、と思いこまされているとも言える。もし他者や会社のために尽くすことに苦痛を感じたとしても、「苦痛を感じる私は未熟」といった自己批判的考えで頭がいっぱいになる。

 こうした文化にこそ必要なのが、自分のありのままがよくても悪くてもすべてを受け入れ、苦痛や傷を癒すセルフ・コンパッションという心の持ちようなのである。

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