2015年11月号掲載

サイバー・インテリジェンス

IT・インターネット科学・技術・環境社会・政治
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著者紹介

概要

インターネットの技術を活用した諜報活動を「サイバー・インテリジェンス」という。米政府による個人情報の収集を暴露したスノーデン事件に見られるように、サイバー技術が発達した今日、情報の奪い合いは国家間ばかりか、民間企業、個人にまで及ぶ。こうしたサイバー・インテリジェンスの現状や危険性について、元陸上自衛隊システム防護隊隊長が解説する。

要約

サイバー・インテリジェンスの時代

 インテリジェンスとは、現在の日本語に適切な訳がないが、昔は諜報活動という言葉が使われていた。いわゆるスパイ活動である。

 インテリジェンスの定義を現代的に言えば、「政策決定者が、国家の安全保障に関する政策判断をするために提供される情報収集・分析活動」ということになる。

 その活動は、現地に入った人が直接見聞することもあれば、現地の協力者からの聞き取りもある。現地メディアから必要な情報を選ぶことも重要だ。こうした人的な諜報活動は営々と続けられてきた。

 その一方、通信技術の発達に伴い、情報を得る方法も多岐にわたるようになる。インターネットが生活に欠かせない今では、インターネット技術を活用した「サイバー・インテリジェンス」がインテリジェンスの大きな柱になりつつある。

ソニー・ピクチャーズをハッキングしたのは北朝鮮か

  2014年11月24日、米国のソニー・ピクチャーズエンタテインメント社のコンピュータ・システムがサイバー攻撃を受けた。システムはダウンし、大量の機密情報も漏洩した。

 これは同社が『ザ・インタビュー』という、北朝鮮の最高指導者・金正恩(キムジョンウン)第一書記を揶揄する映画を作ったことが原因といわれる。北朝鮮が激怒したことから、北朝鮮のハッカー部隊による攻撃と目され、同社は公開を中止すると発表した。

 ところが、この決定に対して「言論・表現の自由が損なわれてはならない」とオバマ大統領が異を唱え、結局、映画は予定通り上映された。そして、同大統領は北朝鮮に新たな経済制裁を科すことを認める大統領令に署名した ―― というのが一般的に報道されている事件のあらましだ。

 だが、本当に北朝鮮が犯人なのだろうか?

 FBIが北朝鮮の犯行の根拠として挙げたのは、過去に北朝鮮が韓国を攻撃した時に使ったウイルスと同じ痕跡があったことや、IPアドレス(インターネット上の識別番号)が過去に北朝鮮が使ったものと同じということだった。

 しかし、そのようなウイルスは、世界中のサイバー研究者や大手セキュリティ企業が検体として持っている。つまり北朝鮮になりすますことが可能であり、この痕跡があったからといって北朝鮮が使ったという絶対的な証拠にはならない。

 だが、米国は「犯人は北朝鮮」ということにして、経済制裁をかけた。その意味は何だったのか ―― 重要なのはこちらである。

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