2008年1月号掲載

『十八史略』に学ぶ人生の法則

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著者紹介

概要

『十八史略』とは、中国に伝わる正しい歴史、つまり正史十八の史書を略記したもの。もともと中国の史書は人間に焦点を置いて書かれているだけに、この書は人間学の宝庫でもある。「すぐれた人を鏡とすれば、自分の行の是非得失を知ることができる」。本書では、この宋の太宗の言葉をはじめ、現代にも通じる貴重な人生訓の数々を人物評論の名手、伊藤肇氏が平易に説く。

要約

トップに立つ者のあり方とは

 中国歴史の入門書である『十八史略』には、「堯帝天下を治むること五十年」で始まる一節がある。堯帝というのは、「堯舜の治」という成語が残っているほどの名君である。

 その堯帝が、天下を治めること50年の長きに及んだが、ある日、ふと反省した。

 「自分は一生懸命に政治をやっているつもりだが、ひょっとすると、自分が知らぬところで政治が空転しているのではないか」

 堯帝はいたたまれぬ思いにかられて、重臣や官僚、さらには民間の有識者たちに実情を聞いたが、いっこうに要領を得ない。

 そこで意を決した堯帝は、ある日、お忍びで市井の雑踏の中に入っていった。

 すると、子供たちがこう囃し立てていた。「みんなの暮らしが楽なのはわが堯帝のおかげです。頭を悩ますこともなく、お導きのおんままに」。

 これなら政治が空回りしていることもないだろうと思いながら、さらに人ごみの中を進んでいくと、今度は1人の老人が歌っていた。

 「お日様上がれば野良仕事、お日様沈めば帰りましょ。そこらに井戸掘りゃ水はわく。黙って耕しゃ米がなる。天子様のお力なんぞ、わしらにゃ縁のないことさ」

 1つは、上に立つ者は、時々自分の足元を見つめないといけない、ということ。特に権力の座にある者は、権力の毒が回ってしまうので、こういう反省を積み重ねないと大変なことになる。

 第2は、市井の雑踏の中で童謡に耳を傾けたという点である。

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