2026年5月号掲載

顧客ニーズを射抜く 学び上手な企業の戦略思考

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著者紹介

概要

顧客ニーズをつかむのは難しく、企業の悩みのタネだ。しかし、アップルやワークマン、ドン・キホーテなどは顧客ニーズをうまく射止めている。こうした企業は、いかにしてニーズを学び取るのか。経営戦略研究者が、各種事例をもとに、その取り組みを解明。顧客も気づいていない、未知のニーズを掘り当てる思考プロセスに迫る。

要約

誰から学ぶのか

 企業が顧客ニーズを学び取るのは容易ではない。だが、なかには顧客ニーズをうまく学んで射抜いている企業がある。そうした顧客ニーズの学習に長けた“顧客上手な企業”は、工夫しながら多様な情報を集め、それを手掛かりにして顧客ニーズを学び取っている。

 企業が顧客上手になればなるほど、顧客から集める情報の質は高まり、次に満たすべき顧客ニーズを推定しやすくなる。そんな顧客上手な企業が行っている施策とは?

3つの顧客タイプ

 顧客ニーズの学習という観点から見て大切なのは、次の3つの顧客タイプである。

・お得意様

 自社の収益を支えてくれる中核的な顧客。企業はまず、お得意様が教えてくれる、ど真ん中のニーズにしっかり応えなければならない。

・意外な顧客

 自社の中核的な顧客群から外れた周辺部にいる顧客。自社製品に対して批判的な顧客や他社製品の顧客もまた、意外な顧客として重要なニーズ学習の対象となる。彼らの声は、自社製品に何が足りていないのかを教えてくれる。

・障壁と闘う不常識な顧客

 製品やサービスの自由な使用を妨げる制約を障壁として認識し、時に規則や法律を逸脱してでも、自分の好きなように使いたいと考える顧客。

 そうした逸脱行為は褒められたものではない。だが人間の本性に迫るニーズが、その奥底に潜んでいるといえよう。従って、それを合法的に満たすことによって成果を得る道筋を描くことが、戦略家が考えるべき道となる。

 例えばアップルは、1990年代終盤~2000年代初頭、音楽データがオンライン上で違法に配信・共有される様子からニーズを学び取り、iTunesという合法的な配信サービスを展開し大成功した。

「意外な顧客」から思わぬニーズを学ぶ

・冷たい顧客

 自社製品に対して冷ややかな不満を表明する顧客や離反する顧客。彼らが抱えている不満要因を突き止めることは、本来満たしておくべきだったニーズを学ぶことと同じであり、目を逸らしてはならない。

 冷たい顧客から学ぶ際は、彼らのダメ出し情報を収集するための仕掛けをつくり、不平や不満の原因を突き止め、それが示唆するニーズを読み解き改善に努める。従って、冷たい顧客がどのような不満を持っているのかを自社に対して明瞭かつ直接伝えてもらう策を考える必要がある。

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