2023年8月号掲載

CFO思考 ――日本企業最大の「欠落」とその処方箋

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著者紹介

概要

CFO(最高財務責任者)は、単なる金庫番ではない。企業成長のエンジンとなるべき存在だ ―― 。世界の投資家から4年連続「ベストCFO」に選出された著者が、CFOに求められる思考の真髄を解説。潰れもしないが、成長もしない。日本企業がそんな安定偏重の経営から脱し、自社を変革するためのヒントを、自らの経験を交え語る。

要約

CFOは誰と向き合い、何を動かす存在か

 私はCFO(最高財務責任者)として、国内外あわせて毎年平均100名前後の機関投資家と面談し、自社の株式への投資をお願いしてきた。

 その中で、多くのグローバル投資家から、繰り返し言われてきた言葉がある。それは、「君たち(日本経済・日本企業・日本人)には『アニマルスピリッツ』はないのか?」というフレーズだ。

 経済学者のジョン・メイナード・ケインズによれば、アニマルスピリッツとは「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」を意味する。海外の投資家は、日本の社会全体や企業経営から血気と活力が衰えていると見ているのだ。

 この現状を覆すにはどうすればよいか? その答えは「CFO思考」にある ―― 。

「君のオフィスの設定温度は何度だ?」

 2015年7月、私は三菱UFJフィナンシャルグループのCFOとなって初めての「海外IR」を行った。海外IRとは、諸外国の投資家を訪ねて面談し、自社の戦略をアピールして株式を買ってもらうことを目的とする活動だ。米国で最初に訪問した中堅ファンドでの、1つ目の質問はこれだった。

 「君のオフィスの設定温度は何度だ?」

 一瞬、返答に困った私に対し、そのファンドマネージャーは続けた。

 「どうせ『地球にやさしく』なんていう御託を並べて、28℃設定にしてるんだろう。グーグルやアマゾンのオフィスは何度か知っているか? 21℃だぞ。人間は少し寒いくらいの方が頭が働くんだ」「地球に負荷をかけてもいいから、最高の職場環境を準備して、自分の会社の人材に最高のパフォーマンスを出させるべきじゃないのか? このままだと、地球が滅びるはるか手前で日本経済は沈没するぞ」

 その後の投資家面談でも、業績や株主還元などの質問に加えて、事前に想定していなかった質問や議論をしかけてくる投資家も何社かあった。

 海外の機関投資家は、こうした質問を通して、どんな人物がその企業を率いているのか、その資質や力量を見定めようとする。従って、CFOは会社のスポークスマンとして、あらゆる質問に答えられるよう準備する覚悟が必要である。