2021年4月号掲載

アクティビスト

Original Title :Barbarians in the Boardroom

企業・業界事例金融・財務・会計投資・資産運用
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著者紹介

概要

物言う株主、アクティビスト。彼らは、業績の悪い企業を懲らしめ改善を迫るヒーローか、それとも、手早く稼ぐために企業を食い物にする乗っ取り屋か ―― 。世評を二分するこの投資家の実態に、金融ジャーナリストが迫った。彼らの成り立ちから、取締役会との攻防、成功の要因、今後の課題まで、多くの実例を交え詳述する。

要約

アクティビスト投資家とは

 アクティビスト投資家(物言う株主) ―― 。それは、世評を大きく二分する存在である。

 ある者は彼らのことを、資本主義の究極のヒーローであり、業績の悪い企業を懲らしめ、取締役会に株主の利益を最優先して経営するよう仕向ける人々だという。逆に、欲望に煽られる現代社会を体現した人々だと評する者もいる。手っ取り早く稼いで、企業から人員や研究開発費などの資産を剥ぎ取っていくだけの存在というわけだ。

 アクティビスト・ヘッジファンドの少人数のエリート集団はいまや米国の、そして世界の大企業に対して無視できない影響力をもつようになっている。ここ10年で、彼らの圧力によって急激な改革を強いられた企業の数はますます拡大した。

 普通、アクティビストのアプローチはどちらかといえば正攻法である。オーバーホールの機が熟したと思える企業を識別すると、株式の一部(たいていは5~10%程度)を取得し、その立場を利用して社内改革を行うよう働きかける。

 彼らはターゲット企業の取締役会や経営陣に、面談や書簡を通じて影響力を行使する一方で、さらに圧力を増すために、メディアや他の株主などとのつながりを利用する。

原点は「プロキシティア」

 この世に公開企業がある限り、必ずその経営方針を左右しようとする敵対的投資家が現れる。1600年代に設立された世界初の株式公開企業であるオランダ東インド会社でさえ、様々な要求を突きつける小株主集団の圧力にさらされた。

 もっとも、現代のアクティビストが用いる戦略の原点は半世紀少し前にある。1940年代と50年代に米国経済が低迷する中、株価を上げて株主に利益をもたらす、いわゆる株主価値の最大化に寄与できると考える一握りの投資家たちがいた。

 彼らは経営陣を揺さぶり、議決権行使(プロキシー・ボーティング)キャンペーンを行って取締役会に代表を送り込む手法をとったことで、「プロキシティア」と呼ばれた。

 代表的な例として、1954年にルイス・ウォルフソンが通信販売業者モンゴメリー・ワードの株式を6.5%取得したものがある。

 取締役会への代表送り込みを画策したウォルフソンは、全米をまわって同社の株主と会い、自分のプランについて話し合った。彼は自社株の保有があまりにも少ないと経営陣を非難し、会社の利益が株主の利益になっていないと主張した。

 そして1955年の定時株主総会で、彼の推す役員候補者のリストが票を集め、規定により彼自身も役員に選任された。同社会長は辞任し、後継者はウォルフソンの提案に従って、会社に蓄積された豊富な資金を使って事業を拡大し、株主への配当を増額した。株価は急騰し、このキャンペーンは株主アクティビズムの手本の1つになった。

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