2018年9月号掲載

世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ

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著者紹介

概要

ミネルバ大学。2014年の開校以来、世界中から志願者が殺到する、「21世紀最初のエリート大学」だ。校舎も研究施設もない。授業はすべてオンライン。創立者は無名の起業家…。真の教育改革を目指す同校の成り立ち、既存の大学とは大きく異なるカリキュラムや仕組みについて、元ミネルバ大学日本連絡事務所代表が詳述する。

要約

大学を取り巻く4つの問題

 歴史ある講堂も、広大な敷地に点在する研究施設や運動施設もなく、著名な卒業生もいない。学生寮は普通の集合住宅を利用し、授業はすべてがオンライン…。そんな大学に、あなたは自分の子どもを行かせたいだろうか。

 サンフランシスコに拠点を置く教育事業会社、ミネルバ・プロジェクト社が設立したミネルバ大学は、まさにそんな一面を持つ大学だ。

 そして、この大学には世界中から2万人以上の受験者が集まる。合格率はわずか1.9%。なかにはハーバード大学、スタンフォード大学など名門大学の合格を辞退して進学する学生もいる。

 なぜ、世界中から同校に学生が殺到するのか?

 その背景には、大学を取り巻く深刻な状況がある。それは、次の4つの問題に集約される。

①「社会に出る準備」に対する深刻な意識の乖離

 2014年に米国のギャラップ社が、大学と企業の経営層に意識調査を行った。「学生は社会で活躍できる準備ができていると思うか?」と質問したところ、「そう思う」と答えた経営層の割合は、大学側が96%であるのに対し、企業側はわずか11%だった。多額の学費を払う学生や親からすると、この意識のギャップは見過ごせない問題だ。

 また、「我々は社会に出て役に立つ職業訓練を提供している」と自負する大学にとっても安心できない問題がある。それは、デューク大学のキャシー・ディビットソン教授が研究論文で発表した、「2011年に入学した小学生の65%は、まだ存在していない仕事に就くことになる」という問題だ。すなわち「職業そのものが変化する」状態に適応するスキルを提供できるかが問われている。

②使われない学習効果の高い教授法

 ハーバード大学のエリック・マズール教授らの研究では、自分の物理学の授業で、講義形式で教えた内容について半年後に確認テストを行ったところ、90%の学生が学んだことを忘れていた。

 これに対し、事前課題を与え、授業では少人数のグループをつくり学生が互いに学んできたことを共有し、不明点を教授らに質問する形式を採用したところ、同じ期間で約70%の学生が学んだ内容を記憶できていたという。