2018年1月号掲載

対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方

Original Title :DIGITAL VORTEX:How Today's Market Leaders Can Beat Disruptive Competitors at Their Own Game

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著者紹介

概要

デジタル時代の今日、ディスラプター(破壊的イノベーター)が既存の業界を脅かしている。例えば、空室をシェアするエアビーアンドビーがホテル業界を、タクシーをスマホで呼ぶウーバーがタクシー業界を。今後、様々な業界で進むであろう、このデジタル・ディスラプション(創造的破壊)の現状を述べ、既存企業の戦い方を示す。

要約

デジタル・ディスラプションの破壊力

 史上空前のテクノロジー激動期の今日、デジタル分野の語彙に新たな単語が加わった。

 それは「デジタル・ディスラプション(創造的破壊)」だ。デジタル技術とデジタル・ビジネスモデルが、既存企業の価値提案と市場における今後の地位に及ぼす影響を意味する。

 例えば、空き部屋をシェアするエアビーアンドビー、スマホでタクシーを呼ぶウーバーといった「ディスラプター(破壊的イノベーター)」は、既存のホテル業界やタクシー業界を破壊している。

 その登場は大きな注目を集めたが、彼らの出現は単なる転換点に過ぎない。今日、他の様々な業界でも、ディスラプターが注目を集め始めている。

 デジタル・ディスラプションと従来の競争との違いは、突きつめれば2つの要素に集約される。「変化の速度」と「利害の大きさ」だ。

 デジタル・ディスラプターは急速にイノベーションを起こして市場シェアを獲得し、既存企業よりもはるかに迅速に規模を拡大する。とりわけ彼らが危険なのは、ひと晩のうちに巨大な顧客基盤を築き、いくつものビジネスモデルを使いこなして複数の市場の既存企業を脅かすからだ。

あらゆる業界を呑み込む「デジタル・ボルテックス」

 そうした脅威に対応するには、デジタル・ディスラプションについて理解しておく必要がある。

 「渦巻き(ボルテックス)」を思い浮かべると、デジタル・ディスラプションが企業や業界に与える影響をイメージしやすい。

 こうして業界が「デジタルの渦の目」めがけて突き進む動きを、デジタル・ボルテックスと呼ぶ。

一見ほとんど関係のない市場を転覆させる

 デジタル・ボルテックスは、様々な業界を呑み込む。公益事業もその1つ。この分野はディスラプションが起こる可能性が最も少ない分野だと考えられていた。例えば電力事業では、発電や送配電を行うために莫大な設備投資が必要となるからだ。だが、再生可能エネルギーの分野では、すでに大きなディスラプションが起きている。