2017年10月号掲載

稲盛和夫の実践アメーバ経営 全社員が自ら採算をつくる

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概要

会社を小さな組織に分け、それぞれが独立採算で経営を行う。京セラ生まれの「アメーバ経営」は、破綻した日本航空に導入され、高収益企業へと生まれ変わらせる原動力となったことでも知られる。前著『アメーバ経営』の刊行から約10年。かつて説いた「全員参加経営」を実現する方法をより詳しく、具体的に示した“実践版”だ。

要約

日本航空を再建した経営哲学

 経営において一番大事なのは、トップが立派な哲学を持つことであり、その哲学を従業員と共有することだ。アメーバ経営を行うにあたっては、このことを最初に手がけなければならない。

破綻企業が高収益企業に

 上記のことは日本航空の再建でも生かされた。フィロソフィ(経営哲学)をベースにした社員たちの意識改革がなければ、アメーバ経営を導入することも、同社を再建することもできなかった。

 2010年1月、日本航空は2兆3000億円余りの負債を抱えて倒産し、再建を目指すことになった。同年2月、私が会長に就任した時、マスコミの多くは「日本航空は再建できない。二次破綻は必至だ」と否定的な見方をしていた。

 しかし、実際には、再建初年度の2011年3月期には1884億円、12年3月期には2049億円の営業利益を生み出し、世界の航空業界の中でも有数の高収益企業に生まれ変わることができた。

なぜ、日本航空は再建できたのか

 なぜ、日本航空は短期間で高収益企業に生まれ変わったのか。要因はいくつかある。

 まず、新たな経営理念の確立だ。「全社員の物心両面の幸福を追求すること」を企業の目的(経営理念)に定め、それを社員に徹底して伝えた。

 もう1つは私の経営哲学、つまりフィロソフィをベースとして社内の意識改革を進めたことである。具体的には経営幹部約50名を集めて1カ月にわたり、リーダー教育を実施。フィロソフィを通じて、リーダーとしてのあり方から経営の考え方までを徹底して理解してもらうことを目指した。

 同時にそれは、部下から尊敬される素晴らしい人間性を持たなければならず、そのためには日々、心を高め続けなければならないことなど、人間としての生き方を問うものでもあった。

 

組織づくりの要諦

 では、アメーバ経営の原理原則とはどのようなものか。そして、いかに実践すればいいのか。