2014年11月号掲載

ハラールマーケット最前線 急増する訪日イスラム教徒の受け入れ態勢と、ハラール認証制度の今を追う

ハラールマーケット最前線 急増する訪日イスラム教徒の受け入れ態勢と、ハラール認証制度の今を追う ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

今日、イスラム教徒の人口は16億人超(世界人口の23%)。「ハラール(イスラム法で許される行為や食べ物)市場」の規模は大きく、来日するイスラム教徒も増え続けている。このビジネスチャンスを生かせるよう、彼らへの対応の仕方を説いた1冊だ。ハラールの基礎知識から、国内市場におけるイスラム教徒への各種サービスまで、ハラール対応の今を伝える。

要約

巨大な「ハラール」市場

 2013年7月から、東南アジア5カ国の観光ビザ発給要件が緩和されたことにより、イスラム教徒の多い国々からの観光客が急増した。

 それが引き金となり、13年の訪日外国人の数は1036万人と、初めて1000万人を突破した。

ハラール対応がイスラム教徒への「おもてなし」

 実際、浅草、箱根、京都といった観光名所では東南アジア系と思われる人々が目に付く。そしてその中には、「ヒジャーブ」と呼ばれるスカーフで髪を覆い、「アバーヤ」というロングドレスを着たイスラム教徒の女性の姿が散見される。

 イスラム教徒と聞くと、アラブ&中近東の国々を思い浮かべるが、実は世界のどの国にもイスラム教徒はいる。中でもインドネシアは総人口の80%をイスラム教徒が占め、仏教国・タイにも数多くのイスラム教徒が居住している。

 そこに「2020年東京オリンピック開催!」の報が重なった。オリンピックともなれば、世界中からイスラム教徒が来日する。彼らへの「おもてなし」は、ビジネスチャンスにつながる。そこで、「ハラール」という言葉がスポットを浴びるようになった。

 特に注目されるのが「食」の分野だ。

 イスラム教徒は、豚肉および豚由来の成分を含む食品や調味料を口にするのは禁忌(ハラーム)とされる。ハラームは、化粧品や医薬品の分野にも及ぶ。豚肉由来の成分を含む化粧品は一切使用できず、同じくサプリメントも服用できない。

 こうした問題をクリアーし、イスラム法(シャリーア)上で食べることを許された食品を「ハラール食品」と呼ぶ。その市場規模は年々拡大し、今やハラール関連の化粧品や医療品を加えた市場規模は2兆1000億ドルを超えている。

イスラム教徒向けのチョコレートやハンバーガー

 例えば、イスラム教徒の居住者が急増中のイギリスでは、ハラール食品市場の動きも活発である。最近では、同国の有力チョコレートメーカー・ウンマ食品が「ハラールチョコレート」を投入して話題を呼んでいる。

 フランスには数千万人のイスラム教徒が居住しているが、ここではハラール対応のハンバーガーが話題となっている。国内に多くの店舗を展開するハンバーガーチェーンが、「ハラール・ハンバーガー」を発売し、売上を伸ばしている。