日本式モノづくりの敗戦

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概要

シャープ、パナソニック、ソニーなど、日本の家電メーカーが未曾有の赤字に直面している。それとは対照的に、アップルは高収益を上げ、時価総額が世界一の企業となった。この差は一体、何によるものなのか。世界経済の新しい潮流を読み解き、日本の製造業が苦境に陥った根本的な原因を指摘するとともに、日本企業のビジネスモデル再構築の可能性を探る。

要約

新しい潮流

 大手家電メーカーのシャープが、深刻な経営危機に直面している。

 事業再建の定石は、不採算部門を切り捨てて、主力業務に集中することだ。しかし、同社の場合は主力業務が不採算なのである。これは、シャープに限ったことではない。パナソニックやソニーでも、テレビなどの主力事業が赤字だ。

 このことこそ、日本が抱える問題の本質である。個々の対処でなく、基本の方向付けを誤った結果、こうした事態に陥った。具体的には、新興国の工業化という事態への対応を誤っているのである。

 アップルは、新興国の企業と協働して水平分業を行い、時価総額が世界一の企業になった。

 同社は製造業の新しい姿を示した。「ファブレス」、つまり工場がない製造業だ。

 それを支えるのがEMS(電子機器の受託生産を行うメーカーや方式)だ。この生産方式を用いた、これまでの常識を超える大規模生産で価格破壊を行っている。

 日本のテレビ事業が敗退したのは、こうした新しいトレンドに対応できなかったからである。

工場のない生産こそアップル高収益の源

 アップルの製品を生産しているのは、台湾企業の鴻海精密工業(ホンハイ)の中国子会社富士康科技集団(フォックスコン)だ。これは最終組立工程で、部品は世界中の様々な企業が生産する。

 米調査会社のアイサプライ社は、iPad2を分解し、その原価を調査した。それによると、原価は336.6ドル。これを729ドルで販売している。原価の2倍以上の価格で販売しているのだから、驚くような利益が出ても不思議ではない。

 また、初代iPadとiPad2の部品を比較すると、供給メーカーは固定的なものではなく、他のメーカーへの切り替えがなされていることがわかった。

 つまり、これは、固定的な下請け関係による部品生産ではなく、「市場を通じて部品を調達する」という「水平分業方式」の生産なのだ。

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