2012年7月号掲載

ボイス ソーシャルの力で会社を変える

ボイス ソーシャルの力で会社を変える ネット書店で購入
閉じる

ネット書店へのリンクにはアフィリエイトプログラムを利用しています。

※『TOPPOINT』にお申し込みいただき「月刊誌会員」にご登録いただくと、ご利用いただけます。

※最新号以前に掲載の要約をご覧いただくには、別途「月刊誌プラス会員」のお申し込みが必要です。

著者紹介

概要

書名の「ボイス」とは、「Voice of Customer(顧客の声)」のこと。ツイッターやフェイスブックなどが普及した今日、消費者同士が様々な情報を、リアルタイムでやり取りするようになった。本書では、これらの声に耳を傾け、本音を引き出すことでイノベーションを起こす手法を紹介。スターバックス、P&G等で成果を上げた、ソーシャルメディア時代の戦略が明かされる!

要約

コミュニティーを理解する

 ソーシャルメディアの出現は、消費者が声を発信する機会を大きく広げた。情報発信という行為は、それまで能動的なブロガーなどに限られていたが、誰もが「ちょっと思ったこと」をツイッターやフェイスブック上でつぶやけるようになった。

 この誰もが情報発信者となりうるという革命は、情報の受け手側にも大きな革命をもたらした。「知人が発信する情報」というフィルターを通して、より高い信頼度を持って情報に接することが可能となったのだ。

 消費者は自分の選んだ情報発信者を「フォロー」したりすることで、信頼できる人たちの発信する情報のみを受け取ることが可能になった。

 例えば、デジタルカメラを買う場合、フェイスブック上で「デジカメを買おうと思っているのですが、お勧め機種は?」という質問を入れると、瞬時に多くの知人が教えてくれるだろう。

 こうして消費者は発言する力と、正しい情報を即時に得る方法を手に入れたのだ。

企業から消費者側に移った“力”

 つまり、消費者側のネットワーク化が進み、“力”は買い手側に移った。企業が発信する情報は以前ほど力を持たなくなり、消費者の声はその力 ―― 人の心を動かす力や信頼度を増している。

 さらに、消費者間の会話が最も信頼度が高いだけではなく、最も拡散力のある情報伝達経路になりつつある。企業にとっては、この情報経路にいかにブランド情報や商品情報を乗せてもらえるかが、大変重要な課題となっている。

マズローの欲求5段階説でコミュニティーを理解する

 こうした新たな消費者のコミュニティーに対する理解は、ソーシャル戦略を企業に取り入れる上で、不可欠な基本知識といえる。

 米国の心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求を、次の5段階に階層化して説明した。

 ①生理的欲求 → ②安全の欲求 → ③所属と愛の欲求 → ④承認の欲求 → ⑤自己実現の欲求