2012年3月号掲載

日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ

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著者紹介

概要

時間をかけて話し合う割には、物事が決まらない ―― 。こうした会議は少なくない。だが、日産自動車で行われている会議は違う。同社独自の会議手法により、素早い意思決定が行われている。この「日産の会議」の特徴を、実際の会議への立ち合いなどを基に詳しく紹介。意思決定者が会議に出席しない、議事録を作らないなど、驚くべき会議手法が明かされる。

要約

その日に結論を出す!

 日産自動車を大きく変えた、カルロス・ゴーン。

 彼は1999年6月に最高執行責任者に就任すると、その4カ月後には同社の改革計画「日産リバイバル・プラン」を発表し、改革を推し進めた。

 その中で、組織改革として世に知られるようになったのが、ゴーンが持ち込んだ「クロスファンクショナルチーム」(CFT)というシステムだ。

 90年代の日産には、「会社全体のために」といった発想で行動する社員は少なく、「セクショナリズム」がはびこっていた。

 この状況を打破するため、「部門を横断したメンバーからなる9つのチーム」を作った。これがCFTで、組織改革を進めるためのアイデアを出し合った。購買、研究開発等、9チームから出された案は、日産の改革を行う上で大きな力になった。

日産を根本から変えたもう1つのシステム

 ゴーンは、もう1つの改革推進システムも導入した。それは、課題解決手法の確立であり、具体的にいえば「会議の方法」となる。

 改革に伴い出てくる中小の問題を解決していくのにも、様々な社員が知恵を出し合うことが重要となる。だからこそ、課題解決のための方法を創り上げて、社内に浸透させねばならない ―― 。これが、ゴーンのもう1つの戦略だった。

 この、日産ならではの課題解決と意思決定のための会議手法を、ここでは「日産の会議」と呼ぶ。

その日のうちに結論まで達する「一日集中討議」

 朝の8時50分。会議室に7人の社員が入ってきた。机の上には何個ものポストイットがあり、壁面には白紙の模造紙が貼られている。

 9時を回ると、司会進行役の社員が話し始めた。