2009年9月号掲載

世阿弥に学ぶ100年ブランドの本質

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著者紹介

概要

多くのブランドは、顧客に「楽しみ=うれしさ」を提供することを行動の原点とする。そして、そのために必要な知恵を、現場の試行錯誤の中で育んできた。能楽者・世阿弥の著作には、こうした頭と体に宿る知恵 ―― 企業が知るべき大切なことが数多く含まれる。そう指摘する著者が、「初心忘るべからず」等、数々の世阿弥の言葉から、ブランド作りの要諦を読み解く。

要約

「顧客のうれしさ」が出発点

 強いブランドの多くは、顧客に「楽しみ=うれしさ」を提供することを行動の原点としている。

 そのようなブランドにいつも突き付けられている問いは、次のようなものである。

 「顧客のうれしさとは何か」「それはどのようにして生まれるのか」「それを提供するために、ブランドは何をしなければいけないか」…。

 多くのブランドは、試行錯誤を通して、これらの課題について曖昧な形で知恵を育んできている。そうしたものを誰もが理解できる形で取り出し、叙述するのは難しい。そう思われてきた。

 ところが、まさにそれにぴったりの著述が、600年ほど前の日本にあった。それは能楽者、世阿弥の『風姿花伝』『花鏡』を中心とする著作だ。

 これらの世阿弥の体系は、自分の座の存続を危ぶんで残した能楽の世界の秘伝であり、それは、そのまま現代ブランド道の最高の教典になる。

うれしさが全ての始まり

 能は何のためにあるのか?

 世阿弥は、「花」、すなわち観客のうれしさのためだと言う。観客のうれしさを意味するこの花は、世阿弥の全ての議論の根底にある基本理念だ。

 花について、世阿弥は、次のように述べている。

 ―― 花は、四季折々の咲くべき時に咲き、また散るからこそ、珍しく感じられ、もて囃される。そして能楽も同様に、人の心に珍しいと思われる所こそが面白いのであり、同じ風体ばかりを演じず、変化を持たせなくてはならない。