2020年12月号掲載

道教思想10講

「道教」は、日本ではなじみが薄い。だが、中国では儒教、仏教と並ぶ三教の1つだ。『老子』の「道」の思想を基盤に、不老長生を求める神仙術、仏教の影響を受けた経典・儀礼、儒教の思想など、様々な要素から成る。その哲学と教理を、生命観、宇宙論、仏教との関係といった切り口から、わかりやすく解説した入門書である。

著 者:神塚淑子 出版社:岩波書店(岩波新書) 発行日:2020年9月

2020年12月号掲載

老子

天地自然の摂理である「道」を尊重する。柔弱でありながら強い存在である「水」を重んじる…。2000年超にわたり受け継がれてきた中国古典『老子』。自然と人間を深く洞察したこの書の珠玉の名言を、平易な現代語訳で紹介する。科学文明が極限に達し、むしろ弊害の方が目立つ現代、その普遍的な教えから学べることは多い。

著 者:蜂屋邦夫(訳注) 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:2008年12月

2020年11月号掲載

ブルシット・ジョブ

過去数十年で労働生産性は大きく上がった。だが、労働時間は減らず、報酬も平行線をたどっている。なぜか。それは、「ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)」が増えたからだ! 生産性の向上に伴い社会に広がった無意味な仕事の実態と、それが増加した原因を明らかにする。仕事と価値の関係を見つめ直す、世界的話題の書。

著 者:デヴィッド・グレーバー 出版社:岩波書店 発行日:2020年7月

2020年6月号掲載

イスラーム文化

イスラーム研究の世界的権威が、「イスラーム文化の根柢にあるもの」と題して行った講演を基に、この文化の源泉を解き明かす。いわく、イスラームは商売人の宗教である、すべての善悪は神の意志によって決まる…。誰の目にも映る表面的な姿ではなく、奥深いところにある本質、精神というべきものに迫った啓蒙書。

著 者:井筒俊彦 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:1991年6月

2019年11月号掲載

中国名言集

「千里の行は足下に始まる」「君子は和して同ぜず」「先ず隗従り始めよ」…。中国文学者が、中国の史書、詩文などから時代を超えて生き続ける名言を厳選、明晰な解説を添えて紹介する。誰もが知る極め付きの名言から、隠れた名言、人生の機微を映し出す俗諺まで。様々なニュアンスに富む多種多様の言葉を味わえる1冊である。

著 者:井波律子 出版社:岩波書店(岩波現代文庫) 発行日:2017年11月

2018年12月号掲載

方法序説

『方法序説』は1637年に世に出た。原題は「理性を正しく導き、学問において真理を探求するための方法の話〔序説〕」。真理を見いだすための方法を求め、思索を重ねたデカルト、41歳の時の著作である。考える私、自らの思想や生を導く規準…。示される新しい哲学の根本原理や方法は、近代以降の学問の基礎をなすものといえる。

著 者:デカルト 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:1997年7月

2018年3月号掲載

イスラーム主義

イスラームの教えに基づく社会、国家を目指す「イスラーム主義」。19世紀末頃に生まれたこのイデオロギーが、今、中東を広く覆いつつある。実際、イスラームを政治に反映させようという声が中東の政治を変えている。その背景にあるものとは?政治と宗教の関係はどう変わっていくのか? 歴史を繙きながら考察する。

著 者:末近浩太 出版社:岩波書店(岩波新書) 発行日:2018年1月

2017年2月号掲載

日本文化のゆくえ

人間が本当に自由を望むなら、家族などむしろ邪魔になるのでは。家族の意味はどこにあるのか ―― 。臨床心理学者の河合隼雄氏が、家族をはじめ、社会や個人にまつわる様々な問題を考察した。十数年前に刊行された書の文庫版だが、独自の視点で現代日本の問題を深部から分析し、やさしく示したその内容は、今も示唆に富む。

著 者:河合隼雄 出版社:岩波書店(岩波現代文庫) 発行日:2013年1月

2016年7月号掲載

新しい幸福論

この30年弱で、日本の貧困率は12%から16.1%に。国民の所得の格差は拡大している。こうした中、どうすれば幸福に生きられるのか。格差研究の第一人者が、経済学および哲学、社会学などの観点から考察した。貧困を生む社会的背景、格差是正の現状などが述べられるとともに、心豊かな人生を送るためのヒントが示される。

著 者:橘木俊詔 出版社:岩波書店(岩波新書) 発行日:2016年5月

2015年9月号掲載

東京が壊滅する日

今、首都・東京を含む東日本地域で、大被害が静かに進行しつつある。それは、2011年の福島原発事故で放出された放射性物質が引き起こす「内部被曝」だ。体内に取り込まれた放射性物質は、一定の潜伏期 ―― 5年を超えると、大量の障害と癌を発生させる。タイムリミットまであと1年。今すぐ適切な対策をとらないと東京が壊滅しかねない、と警鐘を鳴らす。

著 者:広瀬 隆 出版社:ダイヤモンド社 発行日:2015年7月

2015年8月号掲載

自省録

第16代ローマ皇帝、マルクス・アウレーリウス・アントーニーヌス。良く国を治めたことから、「五賢帝」の一人とされる。哲学的思索を好み、折に触れ、自省自戒の言葉や人間の義務や幸福について書き留めた。それが、この『自省録』だ。自らのために書いたものだが、真摯な内省に基づく言葉は色あせず、今に生きる私たちにも、貴重な気付きを与えてくれる。

著 者:マルクス・アウレーリウス 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:1956年10月

2015年5月号掲載

イスラームの日常世界

毎日のように、マスコミが報じるイスラーム関連のニュース。それらはテロ、紛争など、圧倒的に非日常的なものばかりだ。当然ながら、そうした報道の裏側には、人々の日常世界がある。弱者には無条件に手を差し伸べる、「ラーハ(安息)」の時間を何より大切にする…。長年、実情を見てきた著者が、人間観、生き方をはじめ、彼らの知られざる姿を明らかにする。

著 者:片倉もとこ 出版社:岩波書店(岩波新書) 発行日:1991年1月

2015年4月号掲載

ラ・ロシュフコー箴言集

箴言、すなわち戒めとなる言葉の数々を収める。著者は、17世紀のフランスを生きたラ・ロシュフコー公爵。「我々の美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳にすぎない」。有名なこの一句が示す通り、彼の言葉は、愛情や勇気といった美徳の下に潜む、自己愛・打算など人間の本性を浮き彫りにする。読者を刺激し、挑発する、フランス・モラリスト文学の傑作だ。

著 者:ラ・ロシュフコー 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:1989年12月

2015年1月号掲載

後世への最大遺物・デンマルク国の話

「私に50年の命をくれたこの美しい地球、この美しい国、この楽しい社会、この我々を育ててくれた山、河、これらに私が何も遺さずには死んでしまいたくない」 ―― 。明治27年、内村鑑三がキリスト教青年会の夏期学校で行った講演、「後世への最大遺物」を紹介する。誰もが実践できる真の生き方とは。後世に遺すべきものとは。人生の根本問題が熱く語られる。

著 者:内村鑑三 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:1946年10月

2014年9月号掲載

世阿弥の言葉

室町時代の能役者、世阿弥。能楽という身体芸術を大成した彼は、言葉に対しても天才だった。「初心忘るべからず」「稽古は強かれ、情識(傲慢)は無かれ」「目前心後(眼は前を見ているが、心は後ろに置いておけ)」…。『風姿花伝』等の伝書から紹介される言葉は、今も色褪せず、心に響く。人生、ビジネスで悩んだ時、世阿弥の言葉は、貴重な示唆を与えてくれる。

著 者:土屋恵一郎 出版社:岩波書店(岩波現代文庫) 発行日:2013年6月

2014年6月号掲載

食と日本人の知恵

春夏秋冬の四季がある、山紫水明の国日本では、独自の食文化が発達した。塩辛、佃煮、蕎麦、煎餅…。日本の食べ物は味はもちろん、香り、色、形、音までがおいしい。2013年12月には、和食(日本の食文化)がユネスコ無形文化遺産に登録された。本書では、食にまつわる日本人の知恵の数々を紹介。発酵学専攻の著者の蘊蓄は楽しく、読むほどに食欲をそそられる!

著 者:小泉武夫 出版社:岩波書店(岩波現代文庫) 発行日:2002年1月

2014年3月号掲載

希望のつくり方

慢性化する長時間労働、あるいは累積する財政赤字…。こうした重苦しい現実を前に、日本にはもう「希望がない」といわれたりする。希望が前提でなくなった今日、人は何を糧に未来へ進めばいいのか。また、そもそも希望とは何なのか。社会のありようと希望の関係について研究を続ける著者が、これまでの研究成果を基に、希望にまつわる疑問を明らかにする。

著 者:玄田有史 出版社:岩波書店(岩波新書) 発行日:2010年10月

2014年2月号掲載

眠られぬ夜のために 第一部  〔全2冊〕

スイスの哲学者で、『幸福論』の著者として知られるカール・ヒルティ。その彼が、眠れない夜を嘆くのではなく、普段忘れがちな自己反省の機会にしようと説き、安眠に誘う「眠られぬ夜のための思想」の数々を披露する。原著の刊行から100年以上たつが、自らの経験、思索に基づく言葉は深く、色褪せない。人が生きる上で何が大切か、貴重な示唆を与えてくれる。

著 者:カール・ヒルティ 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:1973年5月

2013年9月号掲載

「幸せ」の経済学

経済成長率が高ければ、人々は幸福になる、という考え方がある。これに疑問を呈する著者が、内外の各種統計データを基に、経済学の見地から、人々の「幸せ」とは何かを探った。少子・高齢化時代を迎え、このままいけばマイナス成長は不可避。そんな日本において、人々の幸福を高めるにはどうすればよいか、幸せについて考える上で、良きヒントとなる1冊だ。

著 者:橘木俊詔 出版社:岩波書店(岩波現代全書) 発行日:2013年6月

論語

孔子やその弟子たちの言行録である『論語』。人間として守るべき道徳を簡潔な言葉で記したこの書は、2000年以上もの長きにわたり、中国、日本などで読み継がれてきた。本書はこの『論語』の原文に、読み下しと現代語訳を付したものである。「故きを温めて新しきを知る」「巧言令色、鮮なし仁」等々、『論語』の珠玉の言葉を余すところなく味わえる1冊。

著 者:金谷 治(訳注) 出版社:岩波書店(岩波文庫) 発行日:1999年11月