2009年12月号掲載
思考する営業 BCG流営業戦略
著者紹介
概要
日本の営業組織は総じて、売上という結果は重視するが、どんな営業行動をとるかは各自に任せがちだ。だが市場が成熟した今日、このやり方では営業生産性、利益は伸びない。そこで本書が提案するのが「営業TQM(総合品質管理)」だ。日々の営業活動を分析し、やるべき行動を定義し、全員に実行させる。この手法を用いることで、組織全体の営業力を高められる。
要約
「科学の目」で切り込む
今、多くの企業の営業現場は疲弊している。営業担当者は必死で戦っているが、事態は一向に改善しない。その原因は何なのか?
過去の日本企業の成功を支えてきた営業組織には、次の3つの特徴がある。
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- ①営業生産性よりも売上第一主義であったこと
- ②組織戦よりも個人戦であったこと
- ③プロセスよりも結果重視であったこと
高度成長期はこの戦略でよかったが、時代は大きく変わった。市場が成熟し、競争が激化する今日、一握りの優秀な営業担当者に頼っていては、高い営業生産性を維持することはできない。
全員が一定の能力を均質的に発揮する営業組織を持つことが、勝ち残る企業の必要条件となる。
そのような営業組織を実現するためには、生産現場における「TQM(総合品質管理)」のように、科学的データに基づきながら、持続的な生産性の向上を実現できる管理手法が有効だ。
TQMとは、品質の維持・向上を目指す、全社的な品質管理運動のことである。
1960年代以降、日本の製造業が躍進した背景にTQMがあった。製造業各社が、品質や生産性のバラツキを生産現場から徹底的に排除する努力を積み重ねた結果、日本の工業製品は世界一流の品質と価格競争力を獲得していった。
このTQMの考え方を営業現場に持ち込むことで、強い営業組織を作ることができる。
営業組織にこそ、「科学の目」が必要
営業TQMは、定量データや客観的な事実など「科学の目」に基づく点に特徴がある。
これは、従来の営業現場に欠けていたものだ。
例えば、営業担当者に次のような質問を投げかけてみると、それがよくわかる。